お知らせ:

テイスト・オブ・ジャズ

番組へのお便りはこちら

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30+再放送毎週日曜日20:00-20:30でオンエアー。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.60~大村亘~】

 ぼくくらいのジャズ爺(と言っても気だけは若いつもりだが…)になってしまうと、どうも若いミュージシャンを聞く機会が少なくなってしまう。いけないこととは思うが、どうも体と気持ちがついていかないのだ。
 そんな折、やはり月に一度は30歳代半ば迄の若いミュージシャンを呼んで、色々話を聞こうと思った。最近リーダー作を出した若いピアニストの佐藤浩一君がスタジオに自身のアルバムを持ってきた時、ドラムのなんとも日本人離れしたその乾いた響きに大変興味を引かれ、そのドラマーの名前を聞くと大村亘(おおむら こう)君だという。
 今出ている雑誌“スイッチ”がジャズ特集で、若い人達が集まって“ジャズは地味な音楽で大衆受けしない”と異口同音に語っており、その未来にあまり期待しないような感じ、と言うようなことも気になっていたのだが…。こんな若いプレーヤーたちの意見を聞いた後で大村君のドラムを聴き、彼はどんな風に思っているのか興味があったので、佐藤君に言ってスタジオに連れてきてもらったのだった。
 
 大村君は今29才。この6月に初リーダー作『イントロスペクト』を出したばかりで、これがなかなかに優れたアルバムだった。知らなかったのだが、彼はアメリカとオーストラリアが長く、物心ついて日本にいたのは僅か2年余りで、大学もオーストラリアだと言う。最初彼のドラムを日本人離れしたシャープさと感じたのも正解だったのだ。
 『イントロスペクト』とは“内省”という意味合いで、“育った環境が日本ではないために芽生えた特異な感覚”をこう表現したようだ。乾いた叙情とも言える不思議な蠱惑(こわく)の世界がここにはある。彼自身はジャズの未来に絶望していないし期待もしていると言うが、こうした人材が続々と登場してきれば明るさも広がるだろう。勉強不足だったが、彼はぼくの大学時代からの友人、ベーシストのチンさん(鈴木良雄)が若い人とやっているバンド、”ゼネレーション・ギャップ”の一員でもあると言う。さすがチンさん、眼の付け所がイイ。大村君の推薦で同じ仲間の若手ピアニスト、石田衛君が登場することになっている(9月中オンエアー予定)。その前に肝心の大村君の出演は、8月13日の番組で。乞うご期待。


お知らせ

お知らせ一覧