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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(4月より放送時間が変わりました!ご注意ください)+再放送毎週日曜日20:00-20:30でオンエアー。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.42~今ジャズで元気を/上原ひろみ~】

 大震災、原発事故、我が国を覆う状況は余りにも暗すぎる。こと音楽でも最近のグッド・ニュースと言えば、このコラムでも前にお伝えした日本人のグラミー賞、4部門受賞くらいだが、そのうちの一人、日本が誇る天才元気娘、ヒロミこと上原ひろみが新しいアルバムを発表した。

 グラミー賞について言えば、厳密には彼女がもらったのではなく、彼女はスタンリー・クラーク・バンドの一員として受賞した訳だが、このバンドは彼女の力が大きくものを言っていただけに、彼女自身が貰ったものといっても決してオーバーではないが、いささか騒がれすぎで彼女自身にも負い目はあったのかもしれない。

 そんなものを吹き飛ばすように、彼女の期待の新作『ボイス』は、その天才元気娘ぶりを120パーセント発揮した快作に仕上がっている。オープニングのタイトル曲”ボイス”を聴いただけで、ぼくのような高齢ジャズ・ファンも思わず快哉を挙げてしまうような、素晴らしさと凄さを併せ持つ傑作で、是非多くの若い人達に聴いて欲しい作品と激賞したい。今すべてに元気の無いこの日本で、彼女のような真の意味でコスモポリタンな存在がいること。去年彼女はなんと世界12カ国を飛び歩き、行ったライブは170本に達すると言う。
 
 今度の新作『ボイス』は、トリオ・アルバムだが、メンバーは名手アンソニー・ジャクソン、ドラムがヘビメタからプログレ、フュージョンまで何でもこなすロック畑のサイモン・フィリップスだが、この2人を使いこなし、ビヨンド・ジャズとも言える素敵なヒロミ・ワールドを展開する。アルバムの最後はベートーベンの“悲愴”のヒロミ・バージョン。「音楽は全てを浄化し、ポジティブにする。悲壮感も、憂いも、悲しみも」。被災にあわれた音楽好きの方達に是非聴かせたい楽曲だし、ヒロミ自身が仙台か盛岡で是非このコンサートを開いて欲しいものだ。全ての被災者があきらめずに元気でいられるように…。

 そして先日、彼女はTOKYO FMの番組に出演し、被災者の人たちが元気が出るようにとソロ演奏を行ったと言う。曲は”上を向いて歩こう“だったそうだが、演奏を耳にした人は間違いなく元気を貰ったはずである。


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