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テイスト・オブ・ジャズ

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 ぼくは彼を紹介する時はいつも氏では無く師を使っているが、彼に言わせるとそれは嫌味と言うことになる。だが彼が色々と書いているジャズ原稿は、一時彼のファン達にとって聖書の一節にも匹敵する程の、影響力があったのだからあながち師の呼称もオーバーでは無いと思う。マイルスやコルトレーン等のジャズグレートの偉大さを認めず、ひたすら自身の感性に合ったピアニストやボーカリストを賛美するそのジャズディレッタント的姿勢は、既存のジャズ評論に飽きていた一部のジャズ・マニアの心を掴み、かなり熱狂的なファンも少なくなかった。そんな師とぼくとの付き合いは本当に長い。

 彼がまだジャズ界にデビューする以前、「メグ」のうるさ型親父として店の隅に鎮座していた時代からの付き合い。友人と共に店に行き会話していると、「会話はダメで黙聴を...」などと注意を受ける、要注意客としてぼくはマークされていた。その後彼がジャズ原稿を書くジャズ文筆業者としてデビューして以降は、同じジャズ仲間として親しくさせてもらっているが、喫茶店主オンリーの頃の彼はかなり色々とジャズ喫茶マナーに厳しい存在でもあり、何でもただ愉しめば...と言うジャズ享楽派の現在とは大違いだった。

 そんな彼がジャズ文筆業だけでなく、寺島レコードと言うジャズレーベルを立ち上げ、ジャズアルバムプロデューサー&レーベルオーナーとしてデビューしたのは、もう10数年前の事で、以降現在までこのジャズ不況の中コンスタントにアルバムを発表し続けているのは、本当に頭の下がる思いでもある。そして彼にはもう一つ、オーディオ評論家としての顔もある。高額なオーディオを愉しむハイブローな趣味だが、そのオーディオ仲間やジャズスポット店主など、60人ほどを訪ねた趣味本「マイ・ルーム・マイ・オーディオ/十人十色オーディオ部屋探訪」をこのほど発表、その編集者「ジャズ・ジャパン」の佐藤俊太郎くんと共に、今回スタジオに遊びに来てくれたのだった。

 寺島師ももう齢80を大分超えている筈なのに、相変わらず元気一杯で辛口・軽口・悪口などがしゃべるたびに飛び出して来て、本当に食えない親父、だがどことなく憎めないのが師の良点なのだろう。今回もその良点がたっぷりと飛び出し、彼のファンならずとも愉しませてもらえる点も多々だった。編集者の佐藤君も彼との付き合いで、辟易としながらも仲々楽しそうでもあり、取材のエピソードなども暴露してくれた。辛口親父だけに取材途中で相手と喧嘩別れしてしまうこともあった様だが、それもまた楽しからずや...の心境で、軽やかに流す佐藤君も中々のもの。色々と面白い話&音楽が聴ける充実の30分間でした。

【今週の番組ゲスト:ジャズ評論家でジャズオーディオマニアの 寺島靖国さん ジャズ専門誌「Jazz JAPAN」の編集者 佐藤俊太郎さん】

7月に発売されたオーディオ本『MY ROOM MY AUDIO 十人十色オーディオ部屋探訪』をご紹介。https://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/107195

M1Estate / Kirk Lightsey」『If You're Not Having Fun By Now...』より

M2The Rose Tattoo / Harry Allen」『For Jazz Audio Fans Only 15th Anniversary Best』より

M3Beautiful Love / Solveig Slettahjell」『FOR JAZZ VOCAL FANS ONLY VOL.5』より

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