【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.802~追悼パルミエリ&敦賀明子~】
ぼくのようにチャンジー(爺さん)ど真ん中の年令になると次々と友人・知人の寂しい話を、耳にすることも多くなる。この数ヶ月の中でも、ジャズ関連で2人の訃報を知り、大変に残念な想いに駆られている...。ただしこの2人、ぼくの知り合いという訳では無い。女性の方はかつてぼくのジャズ番組にゲスト登場したことがある...、と言った程度の薄い関係だし、もう一人はラテンジャズのスーパースターで、ある意味ぼくにとって雲上人でもあるのだが...。
その2人とは、エディー・パルミエリと敦賀明子。前者は前述の通りラテンジャズの超大物で、後者はNY界隈で知る人ぞ知る存在のジャズミュージシャン。この2人の共通点は、一つはオルガンという楽器(パルミエリはピアニストで、オルガンを弾くこともたまにある程度だが、敦賀は純粋なジャズオルガン奏者)、そして共にNYを拠点に活動していた点ぐらいで、2人に面識は無かったとも思われるが...。
ラテンジャズの巨星とも言えるパルミエリの方は、NYブロンクス出身。生粋のNY子である。8月はじめに88歳の天寿を全うしたのだが、まあ全盛時(80年代から90年代)の演奏は正に迫力十分で、この分野の美点を全て盛り込んだ素晴らしいもの。コルトレーンやモンクなどジャズの影響も濃い彼の音楽は、正にこれぞラテンジャズ...と言った重量感溢れるもので、この彼の音楽に接しなかったならば、ぼくはラテンジャズというジャズ分野に、こんなに熱中しなかったのでは...とも思う。『ライブ・アット・シンシン』(シンシンとは刑務所の名前)や『サン・オブ・ラテン・ミュージック』など感動作も多く、グラミー賞も何度も獲得。また彼の50周年を祝う記念アルバムにはマイケル・ブレッカーやジョン・スコフィールドなど、ジャズの大物たちも数多く集い、その業績を称えるとともに、素晴らしい演奏も聴かせてくれている。この陽気なラテン・ジャズ伝道師の魂に乾杯!
そしてもう一人の女性オルガニスト、敦賀明子さん。彼女は年令は50才を超えた位だと思うので、まだまだこれからの人ではあるが、NY生活はもう30年近く。元々大阪人で大学卒業後にNYに渡り修行を積む。そこでその才を認められ、即レコーディングということになり、そのプロデューサーが我が「テイスト・オブ・ジャズ」を始めた故木全信だった。木全氏の紹介でNYからの帰国時に番組に登場した彼女は、本場で活動する大変さや愉しさを率直に語ってくれ、かなりな好感度だった。アルバムもアルトサックスのレジェンド=ルー・ドナルドソンが絶賛する様に、仲々の出来栄えのものだった。ただこのオルガンという楽器、巨星ジミー・スミスに象徴されるように、正にアフロアメリカン色たっぷりな、ブルースやソウルの匂いも満載の純黒もの。それだけに日本人がこの楽器で認められるのは、正に至難なことなのだが、それを見事にやってのけ数年前には最も有望なオルガニストとして、ダウンビート誌にも取り上げられる...という、凄いプレーヤーへと成長していた。だが残念なことに、最近は長い闘病生活だったようで、大変残念な結果になってしまった。まだまだ先を目指していた敦賀さんの無垢で気高い魂に 献杯!
【今週の番組ゲスト:ピアニスト 清水くるみさん】
『ZEK!Ⅲ』(M1・M2)
『B & C, Live at A 〜Tribute to SHOJI AKETAGAWA』(M3・M4)
M1「FOUR STICKS」
M2「貴方の声を見つけて!(RocK and Roll)You may hear your shouting」
M3「Bille's Bounce」
M4「Couleur de Mars」




