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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日22:00-などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.168~東京ジャズ見聞録~】

 9月の7日(土)8日(日)に東京国際フォーラムで開かれた「東京ジャズフェスティバル」に行ってきた。今回でなんと12回目、ぼくは初回から通っているが、最初のころに比べホール・イベントとして、出演者が毎回3組出演するだけで、特にフェスらしい趣向もハプニングの愉しみも、最近はほとんど無くなってしまったのは残念なこと。このジャズフェスについての全体像は、毎回プログラム・ディレクター役の才女、八嶋女史に出演いただいて話してもらっているが、今回の目玉はどうやら老人パワーと言った感じか...。ぼくは土曜の昼の部は所用で行けなかったが、他は今回も全部聴いた。関係者の評判が高かったのは、土曜の昼に登場したトニー・ベネット。90才近い高齢だが実によく声が出ており、歌も見事だったと聞く。それだけに残念だったが、夜の部にもシーラ・ジョーダン、リー・コニッツ、そしてキューバのオマーラ・ポルトオンドと80才を超えるベテラン達が顔を見せ。見事なステージ振りを披露していた。

 中でも期待はあの「ブエナ・ビスタ・ソーシャルクラブ」だったが、オマーラを除いては孫のようなミュージシャンが殆ど。あの独特な枯れた味わいは(オリジナルの面々はもう殆どがこの世にいないのだからしょうがないが)、ほとんど感じられず残念だった。この土曜の夜のプログラムは、大江千里(今はNY在住のジャズ・ピアニスト)のビッグ・バンドにリー・コニッツ・カルテット、そして「ブエナ・ビスタ」とばらばらの感じでどうも印象が散漫になってしまう。外の無料コンサートが威勢がいいだけに、中と外の違いがかなり気になってしまった。

 日曜日は昼がラリー・カールトンにボブ・ジェームスといったフュージョン系の人気アーティストがメインで、客の入りも良く流石の出来栄え。特にボブとデヴィッド・サンボーンのスペシャル・ユニットは、ジェームス・ジーナスとスティーブ・ガッドと言う凄腕リズム隊を加えただけに、聴かせどころたっぷりだったが、どうも想像を超えた出来栄えとは言えない。今年もこんなものかと思って最後の日曜夜のステージに臨んだが、これが予想を超えた出来だった。トップは異例の抜擢の新人ピアニスト桑原あいの「愛プロジェクト」。若干21才の彼女はデビュー前にスタジオに来てくれたが、感激のあまり自己紹介も涙声、初々しいしそのプレー振りも堂々として好印象。続いてが本来はボーカルのボビー・マクファーリンのステージだったが、病気の為急遽ボブ・ジェームスのスペシャル・セッションに変更(小曽根真も特別出演)になったのだが、これが予想以上の展開を見せ、ジャズ・イベントらしい意外性と愉しさに溢れたステージが実現された。特にラリー・カールトンが参加して奏されたホレス・シルバーの「セニヨール・ブルース」は最高の出来栄え。ファンキーでブルージー、まさにジャム・セッションの醍醐味が一杯。

 そしてトリのチック・コリアのニュー・ユニット。ラテン色が強過ぎなどの感想もあったが、そんな声をなぎ倒す勢いのあるステージ。今最も乗りに乗っているパーカッション奏者ルイス・キンテーロが参加しているだけで最高なのだが、その他の若い面子も素晴らしい才能ばかり。興奮度マックスのステージだった。こうしたフェスでは、往々にしてトラブルがかえって好結果を生むことがあるが、今回はその証座とも言える最高の結果。久々に感激したフェスだった。それまでがいささか疑問符続きだけに全く分からないものだったが、本当に満足の一日でした。ブラボー!

【今週の番組ゲスト】イスラエル出身でNY在住のギタリスト、ヨタム・シルバースタインさん。先週開催された東京JAZZご出演の為に初来日されました。
M1「MAMACITA」
M2「Nocturno」
M3「If Ever I Would Leave You」
M4「BYE YA'LL」

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