お知らせ:

テイスト・オブ・ジャズ

番組へのお便りはこちら
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日22:00-などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.162~日系三世のシンガー~】

 夏と言えばジャズの世界ではボサノバが幅を聴かせることとなり、日本ではボッサ関連のアルバムが数多くCDショップに並び、若いボッサ・シンガ-のアルバムもいくつか登場することになる。今年もまた何人かの新進シンガーが登場したが、最も有望な存在とぼくが思っているのが、ブラジル出身の日系3世、シンガー&ギタリストのケイシー・コスタである。


 彼女はブラジル北部のアマゾン川河口の都市、ペレンで生まれており、祖父が日本人で両親とも音楽家。特に数年前に亡くなった父親は有名シンガーである。その両親に連れられ7歳の時来日、高校まで日本で過ごし、大学はアントニオ・カルロス・ジョビンを記念したブラジルの国立音楽大学に奨学金を得て入学して本国に戻ったが、卒業後再び来日。プロのシンガーを目指してクラブなどで唄っていたという。そんな時にその才能を見出したのが、ジャズ番長と言うあだ名のあるDJ須永辰男氏。そこからとんとん拍子に話が進み、今回のデビュー・アルバム『イエマンジャ(海の女神)』の誕生となった。


 ところでブラジルと言えば日本ではまずボサノバと言う事になるのだが、実際現地ではこのボサノバはもう過去の音楽で若い人はあまり関心が無いと言うのが実情だ。彼女もブラジル北部の音楽や、若い人達が関心を持つMPB(ブラジルのポピュラー・ミュージック)などを聴いていたようだが、大学の関係(ジョビン記念大学)などから、ボッサにも興味を持つようになり、今回のアルバムでも、ジョビンやロベルト・メネスカルなどボッサの大物のナンバーも取り入れている。ただ彼女はいわゆるボッサ・シンガーでは無く、もっとスケールの大きなブラジリアン・シンガーで、単なるボッサで括られてしまうと大器だけに可哀そうな気がする。タイトル曲は自身のオリジナルで、野性味溢れるダイナミックなナンバーで、ブラジルでは人気の高い海の女神=イエマンジャを歌ったもの。その他MPBの人気者、マリーザ・モンチの曲などどれもスケール感豊かで、堂々とした唄いっぷり。ちまちまとしたボッサ・シンガーを想像すると大違いだ。

 そんな彼女はスタジオに来ても天真爛漫、あまりボッサは判らないし、そんなに好きでもないなどとはっきりと言う。今月からは六本木の有名ジャズ・クラブ「アルフィー」でも歌えるようになった、と嬉しそうに語ってくれたが、注目に値する若手の大物シンガーと言えそうです。

【今週の番組ゲスト:ブラジルミュージックのシンガー ケイシーコスタさんとヴィーナス・レコードのプロデューサー原哲夫さん】
7月17日にリリースされたケイシーさんのデビューアルバム「イエマンジャ(海の女神)から5曲ご紹介しました。
M1「二人と海」
M2「アインダ・ベン」
M3「イエマンジャ」
M4「ウェイヴ」
M5「薔薇に降る雨」

お知らせ

お知らせ一覧