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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.579~オリンピック終幕~】

 賛否両論、毀誉褒貶、悲喜交々等々、様々な形容句が飛び交った東京2020オリンピックが終了した。開会式に至る混乱からすると、良く無事に終幕にたどり着いた感も強いが、なにはともあれ目出度し々である。ぼくはこの期間TV無しの山荘にいたので、その狂騒曲をオンタイムで見ることはなかったが、関心のある7人制ラグビーや幾つかの陸上競技などは、知り合いの所でウオッチさせてもらっていた。
 そんなだから直前に大騒ぎだった開会式も見ていなかったのだが、聴くところではあの世界的ジャズピアニストの上原ひろみが登場したと言う。これは痛恨の極みとヴィデモを見させてもらい、その雄姿を確認した。流石上原ひろみ、堂々の存在感だったがその登場をほとんどマスコミはスルーしてしまっていた。これはまさに大"喝"もの。ただしこれでジャズファンはオリンピックの可否は別として、かなり満足を覚えたことは間違いないだろう。

 さて今大会に関しては、復興とか平和・調和等といったその根底をなす大事なスローガンは、目前に立ちはだかるコロナ禍拡大の勢力が増したほか、主催のJOCもその意義を果たそうとしなかったように見えたことなどで、忘れ去られてしまっていた感も強い。これもまた至極残念な事だが、今回新たな種目に登録されたスケートボード。10代の選手の独壇場だったこの競技で、選手達がお互いの技を褒め合い愉しみ合う、和気あいあいとはしゃぎ合う。この光景に調和や友和の精神が期せずして具現化されていたのは、何とも皮肉な事だったと思う。

 最大の関心事、7人制ラグビーの日本勢は無残とも言えそうな惨敗振り。リオ大会ではあのニュージーランドを破り、4位と大躍進した面影は全く無かった。これはひとえに指導層の問題(直前での監督交代等々)だと思われるだけに、ラグビー日本協会の猛省を促したい。また花形の陸上競技では、最終日の男子マラソンでの大迫傑の頑張りに大拍手...。佐久長聖高から早稲田大陸上部そして単身アメリカに渡り修行と...、常に孤軍奮闘して来た彼の集大成が見られた(ダイジェスト観戦ではあるが...)ことは嬉しい限りだった。かつて高校のグランドで彼の走っている姿を見たことがあったが、あの頃から若くして孤高と言った雰囲気を漂わせており、ただものでは無い感があったが、その締めくくりがこのマラソン。彼の今後にも熱いエールを送りたい。そしてもう一人が女子中距離の田中希実。1500メートルの決勝では惜しくも8位だったが、何と伝説の名選手人見絹代以来89年振り、女子中距離決勝進出と言うのだからこれもまた大拍手である。まだ同志社大の現役学生と言うから凄いし、次回のパリ大会ではより良い結果も得られそうで期待大である。そしてもう一人現役大学生の金メダリスト。早稲田レスリング部4年、須崎優衣。父と姉も早稲田大レスリング部と言う早稲田ファミリーの彼女。その存在を今回初めて知ったが、その余りの強さにヴィデオを見て舌を巻いた。早稲田レスリングは時々ラグビー部の練習を手伝うことがあるのだが、こんな小柄なアマゾネスがいたとはついぞ知らなかった。反省しきりである。

 まあ他にも気になる選手も少なくなかったが、こんな風に書くと如何にもオリンピックに浮かれているに見えるが、さにあらずで結構厳しく見ていた心算。普通は「宴」が終焉するとなにかもの寂しさが残るものだが、今回だけは寂しさどころか厳しさとやるせなさなどの悔恨の思いの方が強い。日本の抱える病根が顕わになってしまい漂流するこの国はこれからどうなるのか...。ぼくの様なチャンジーには「ケ・セレラ・セラ」の心境ではあるが、本当に心配しかない...

【今週の番組ゲスト:Jazz ベーシストの鈴木克人さん】
『LIBERTAS』より
M1「Smooth as the Wind」
M2「Libertas」
M3「Heal the World」
M4「Moon River」


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