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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.578~ビストロジャズ~】

 久方ぶりで雑誌「ポパイ」を読んだ。特集が「なにはともあれ、良い音楽が必要だ...」と言うもので、この至極当然な特集惹句につられ、今時の若い連中は...等と言ったチャンジーならではのスケベ根性で、読んだと言うよりもざっと眺めた感じ。驚いたのはその中のある記事。10代半ば位の音楽好きの子~恐らく高校生だろうが、その子にCDの面白さ・愉しさ・便利さ等を伝えようと言う趣旨のものだが、彼の音楽体験、音楽を楽しむ手段がまず第一に当然のことだが配信。次に来るのがアナログアルバムと言った感じで、CDなどはほぼ関係なし。その人物がレコードショップを訪れるのだが、CDと言うものに殆ど接していないのである。
 今から5年ほど前、台湾取材の折台北の文化発信基地とも言うべき「誠品書店」の地下のレコードショップ。ここで前年とはガラッと趣きが変わり、アナログ一色になっているのに驚き、それからほどなくして日本でもアナログアルバムが持て囃されて来たのは知っていたが、CDを殆ど知らない音楽好きの世代がいるとは、本当にびっくりしてしまった。時代は大きく変わってきている。

 さてその「ポパイ」の特集記事にも顔を出していたDJの一人、鈴木雅尭が自身のDJプレーでよく掛けるアルバムを、仲間のDJと共に紹介した音楽本「レコード・アワー」(DUブック)があったので、こちらは結構詳しく見てみた。全体カタログ本と言った体裁なので、読むと言うより眺めると言った感じか...。この音楽本、「ブルー・カフェ」「サタデー・ジャポン」など5つのチャプターに分かれており、それぞれ多くのアルバムが紹介されているのだが、ぼくが関心を持ったのは「ビストロジャズ」と言うチャプター。
 ビストロジャズとは初めて聞く用語なので、彼の紹介文を見るとビストロジャズとは、ジャズ、スイング、ジャイブなどのグルーブベースにしたDJパーティ―名で、気厳しいマナーや知識が求められるリストランチでは無く、敷居の低いビストロのように誰もが気軽に楽しめるジャズをサーブして行くもの、とのこと。少しばかり意味不明だがまあ我々の世代で言えば、ジョージシアリングやポール・スミスなどのイージーリスニングジャズのことか...と納得。チャプターを覗くと1ページに5枚ほどのアルバムジャケットが紹介されており、見開きで10枚ほど。そのうち知っているのは2枚ほどで5分の1の確率である。まあ最初のページは仕方ないが...と、次のページを見てもほぼそれ位の割合。サックス奏者のロニー・ロス(ロンドンのライブハウスオーナーとしても知られる)やピアニストのオイゲン・キケロ等、けっこう知られた名前も散見されるが取り上げられているアルバムはほぼ知らない。ジャズだけでなくボサノバ関連も多く、ここら辺もDJならではの綾か...。

 まあこのアルバムの数々、自身の無知さに気付かされた感じだが、こうしたDJの連中はいかに人に知られ無い秘密のアルバムを発掘するかがその仕事の肝。それも1曲でもお気に入りのDJ用ナンバーがあれば充分...と言った、超マニアックな世界なのだから...と言った言い訳を見つけ、自身に納得させる。それにしても良く見つけ出すものですね。流石ほぼ毎日中古レコードショップを探り廻っているだけあります。感心・感嘆の境地です。見習わないと...。

【今週の番組ゲスト:コンサートプロモーターの小高秀一さん レコードプロデューサーの青野浩さん 音楽プロデューサーの八島敦子さん】
M1「Steps - What Was / Chick Corea」『Now He Sings - Now He Sobs』より
M2「Noon Song / Chick Corea」『Chick Corea Solo Vol.1』より
M3「Spain / Return to Forever」『Light as a Feather』より
M4「Light Years / The Chick Corea Elektric Band」『Live in Tokyo 1987』より


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