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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.639~追分通信2022夏➁~】

 7月末に追分の山荘に来てから、天気予報は曇りないし雨だが、日中は実際にはピーカン続きでかなりな暑さ。そのかわり夜になると猛烈な雷雨続きではあるが、この日中の暑さでは東京は...と想像するだけでぐたっとするほど。こちらに来るとなるべく、早朝のウーキングを心掛けているのだが、2月からの絶不調の後遺症で初めて体験するかなりな腰痛。様々な整形医に通っても良くならず、最後の頼みは針灸師。国立の腕の立つ鍼灸師に通っていたのだが、こちらに来てしまうとそれもお休みで、ちょっとした時に痛みが出て、今までみたいに1万歩ウーキングなどは望むべくもない。どうにかして6~7千歩は...と頑張っている所だが、体力は今年の冬から目に見えて衰えてしまっている。

 そんな中早朝に腰の痛みを堪え、意を決して歩き出し御影用水の鴨達を眺め(20羽を超えその水浴びは壮観)、越生学園のグランド廻りを歩き山荘に戻る。昨年まではそう意識しなかったグランド脇の坂道の登り、辛いこと夥しい。ただ今回こちらに来て初めて知ったのだが、あの御影用水はなんと信州風景百選に入っているとのこと。これは当然だと思うし、軽井沢の中でも有数の景観だと言うのは間違いない。その御影用水脇のカーぺンター平井氏がオーナーの「オーベルジュ・グルマン」、ここにも当然顔を出し絶品のそばガレットを堪能したが、マスターの平井さんは残念なことに外出中で会うこと叶わずだった。

 このように腰痛に悩まされながらも、どうにか山荘ライフをやり過ごしているが、余り外出が出来にくいとなると軽井沢、御代田そして小諸と言った、東信の公立図書館から分野を問わずどっさと本を借りて来ての読書三昧、そして山荘のレコード棚に埋もれているジャズアルバムの発掘&鑑賞...と言うことになる。ジャズ鑑賞の方も幾つか埋もれたお気に入り盤を見つけ出したので、またこの次にでもお伝えしたいが、読書の方は前から読みたかった柳美里の全米図書賞受賞作の「JR上野駅公園口」、これが白眉だった。彼女は東北の大震災と福島の原発事故後に福島に移り住み、その地で本屋なども開業、作家活動と並行して行っていると聞くが、この本はその福島の相馬に生まれ、中学の頃から生活のため働き始め、出稼ぎをして一家の生計を立て一生を過ごし、最後を上野のホームレスとして暮らす...と言う、ある名もなき男性が主人公。ぼくらよりも少し上の世代の人が主人公だが、何とも言えない侘しさと寂しさが残る身につまされる物語だが、柳美里ならではの印象深い作品に仕上がっており、全米図書賞を日本人で初めて獲得...と言うのも頷ける、大変に印象深い作品だった。

 柳美里と言えば、彼女が最初に世に出たのが演劇集団「青春五月党」のリーダー兼劇作家として...。その五月党の公演をアメリカ大使館前、以前の自転車会館の地下ホールで行ったことがあり、知り合いに頼まれ柳本人に会って、番組の中で是非芝居をPRをしたいと彼女から頼まれ、ぼく自身も彼女の芝居に興味もあったので即OK、当時人気だった若者向けの番組「ヤロメロ」(夕方の生番組で大橋照子がメイン)のなかで、そのさわりを劇団の数人の役者で演じてもらったのが、今でも大変に印象深い。ラジオのアイドル番組とも言えるリスナー参加の生番組「ヤロメロ」の中に、全く異色の芝居をぶち込みそれを演じる。なんとも言えない異化作用で、参加のリスナーはきょとんとしていたが、中身は柳らしい強烈さで面白いシーの誕生だったと、今でも懐かしく思う。あの頃実に尖がっていていつもピリピリしていた柳本人も、それなりにこのラジオ生出演の様子を愉しんでいたのは、彼女のファンとしても興味深い所だった。その後劇作家から小説家へと転身していった彼女だが、その一つの帰結点としての「JR上野公園口」。素晴らしい作品なので是非読まれてみてはどうだろうか...。

【今週の番組ゲスト:女性サルサバンド CHICA BOOM ヴォーカル 志村 享子さん リーダーでティンバレス奏者の森村 梓さん】
30th Anniversary Live ときめきBoom Boom』より
M1「カプセル」
M2「ときめきBoom Boom
M3「ラグリマス ネグラス」
M4Puente Sobre El Mar - 虹の架け橋」


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