「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.738~町から本屋が消えていく~】
今よく聞くのは、日本の大きな町からどんどん本屋さん=書店が消え去っていると言う話。それこそ県庁所在地のある市や町には、百年を超すような長い歴史を有する書店があったもので、そこがその地方や県の文化の発信地...と言うことも多かったはずなのだが、そうした書店がこの10年ほどの間にどんどん閉店している...と言うのである。それは地方都市だけでなく、関西圏や中京地区そして北九州など全国どこでもそうだとも言う。こうした傾向は首都圏でも同様で、東京の鉄道網の中でも最も文化度の高い路線(?)とも言えそうな、中央線沿線の街でも同様の現象が起きており、書店の無い所も徐々に増えつつある。
確かに今の若い連中は、本と言えばまず漫画か実用書しか読まないし、書店現象も時代の趨勢だから...とほとんど無関心という有様だが、この文化の消滅は実に憂慮すべきことだし、悲しむべきことでもある。スマホとパソコンさえあれば、本屋などなんてことも無いだろう...と言う考えなのだろうが、日本よりはるかにIT対応の進んでいる台湾でも、ぼくの経験からすると、地方の小都市でも本屋を見かけることが多かった。本屋をコアにした文化と言うものを中央政府を始め多くの市井の人達も、大事にして行こうと言う姿勢が窺える感もあった。
台湾で書店と言えば、世界の書店10傑にも選出され、そのユニークな取り組みが日本でも高く評価され、日本橋にも進出した「誠品書店(&誠品生活)」が最も有名で、ぼくも台湾の取材が年に1、2回あった頃には、台北市に行けば一度はこの文化発信基地にたち寄って、書店の自由な雰囲気・読書スタイル(通路に座って本を読んでいる若い連中も多い)を観察・堪能したものだった。台北にはこの誠品以外にも金石堂というチェーンもあるし小ぶりな本屋もあちこちにあり、また台中や高雄と言った大都市、台南や花蓮と言った歴史ある街などにも、独自の見識を持った本屋があり、それらは今も立派に運営している...とも聞く。今や経済面・生活面では台湾にもはるかに遅れを取ってしまっている日本。熊本県が台湾企業の進出によって、景気回復を図る...等と言う状況迄も生まれている訳だが、日本人はまあ今は経済面ではいささか恵まれていないが、こと文化や社会環境などに関しては...、アジアのどの国にも劣らないと言う変な自負や自尊心を持っている。それだけにこと書店の消滅と言う、ある種の文化の危機的状況に関しても、アジアの覇王意識もあるだけにこの事態を心配すらしない訳だが、これは日本政府だけでなく市井の人達までもが、本屋が無くなるのはIT時代にはしょうが無いこと...、消滅することこそ至極当然...等と嘯いてすらいるふうに思えてならない。なんと寂しい国になってしまったものだろうか...。
それにしても今ある本屋は、この危機的状況を図太く生き延びて欲しいと、切に願う。幸いなことに我が国立の街には、長い歴史を誇る増田書店という老舗が頑張っており、「ペイパー・ムーン」と言う新しい本屋も駅ビルで新たな息吹を吹き込んでいる。まあこの2店舗でどうにか書店文化は守られそうである。残念な事には銀杏書店と言うセンスある洋書専門店は閉店してしまったが、どうにか国立の本屋は継続して欲しいものである。
【今週の番組ゲスト:ジャズサックスプレイヤーの本多俊之さん】
新譜『ほ・ん・の・り』から
M1「Alfie」
M2「マルサの女 The Woman From Marusa」
M3「S.B.C. Magic」
M4「Danny Boy」




