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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.260~新レーベル】

 この音楽ソフト受難の時代にまたまた新しいジャズ・レーベルが誕生した。「JazzTOKYOレコーズ」。このレーベル名を聞くと首都圏に住む少し熱心なジャズファンならば、あるジャズショップのことを思い出すはずである。ジャズストリートにして東京のカルチェラタン、お茶の水の街にある「ディスク・ユニオン」のジャズ基幹店~「ジャズ・トウキョウ」である。まあその推測通りこの新レーベルは、ディスク・ユニオンのジャズ基幹店が初めて世に問うジャズレーベルと言う事で、ジャズファンならばかなり気になる筈なのである。更にその第1弾に選ばれたのがピアニストの八木隆幸くんとあらば、これは番組でも是非紹介せざるを得ない。

 関西出身の八木くんは数年前の前作を聴いて、そのバップスピリット横溢のプレーに感心しスタジオに呼んだ事がある、ぼくもお勧めの俊才。それをディスク・ユニオンの基幹店が全面的にバックアップしようと言うのだから、目立った話題に乏しいジャズ界にあってもかなりな朗報。アルバムタイトルは『スカイ・スクレイパー』。摩天楼のことである。と言う事でスタジオには、八木くんとこの新レーベルの代表にして御茶の水「ジャズ・トウキョウ」店長の生島昇氏の2人に来てもらうことにした。

 ところでこのアルバムが誕生した背景には、もう一つぼくが2人をスタジオに呼ばざるを得ない裏事情もある。と言うのも生島氏が時々お茶などをしに通う近くのジャズ喫茶、これが以前にそこのマスターが番組にも登場したことのある、ぼくもお気に入りの「アデュロン・ダック・カフェ」。ぼくは生島氏と店で顔を合わせたことは無いのだが、その名物マスターが生島氏に「君が是非聴かなければならない素晴らしいピアニストのライブを店でやるから来るように...」と厳命。半信半疑でライブに行った時のピアニストが八木くんで、彼はそのライブで八木くんの資質にいたく感激、それから色々と紆余曲折を経ながらも、八木君の今回のNY録音を新レーベルの第1弾として、世に問うことになったと言う次第。ぼくもマスターとその奥方から音が上がった時点ですぐに聴かされ、是非番組に彼を出演させるように懇願され、直にOKを出したと言う経緯がある。

 まあそんなこんなで八木くんと生島氏がスタジオに来て、新レーベルとその第1弾アルバムの紹介となった訳だが、このアルバムそのタイトルからもお分かりの通り、今年2月にNYで録音されたもので、ベースはベン・ウイリアムス、そしてドラムがロドニー・グリーンと言う、現在のNYを代表する俊英達。2人とも八木くんが共演を熱望していた面々だけに意気投合。素晴らしいセッションが実現した。アルバムのコーディネイト役はNY在住で「アヂュロン」のマスターの知人でもある小杉氏だが、大雪の日に行われたセッションは彼も非常に感心したものだったと言う。

 アルバムの全10曲のうち殆どは彼のオリジナルで、残りもバップピアノの開祖、バッド・パウエルの「タイム・ウエイブ」やハードバップを代表するピアニスト、ウオルター・デイビスの「バック・ギャモン」とバップ色が濃厚。小杉氏も指摘している通り、実に気合の入った演奏が全編展開されている。生島氏もディスク・ユニオンに来るジャズファンの関心は殆どが輸入盤、それだけに日本にも素晴らしい人がいることを是非知らしめたいと、このレーベル&アルバムを作ったのだと番組で語ってくれているが、その志や非常に良しである。聴き応え充分なアルバムだし、新レーベル発足の弁も又爽快な今回のオン・エアー。是非聴いて欲しいものです。

【今週の番組ゲスト:ピアニストの八木隆幸さんとJazz TOKYO RECORDSの生島昇さん】
M1『Labyrinth』
M2『Total Eclipse』
M3『The Souful Mr.Timmons』
M4『Skyscraper』

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