「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.741~K2の悲劇~】
酷暑とパリオリンピックが話題の中心だった7月後半のある日、ヤフーニュースに「K2~エベレストに次ぐ世界第2位の高峰8611M、その登頂の困難さなどから魔の山とも呼ばれる~で日本人登山家遭難、救助困難か...」とあった。何気なく読み進めてしまえば、またヒマラヤで遭難...となるのだが、なぜか2人とあるのでもしかしたら...、あの平出和也&中島健郎と言う日本最強の登攀家=クリマーコンビなのでは...とも思った。と云うのも確か平出氏があるテレビドキュメンタリー番組で「自分の究極の望みはまだ誰も踏破していないK2の西壁制覇...」とし、「その為にカラコルム山塊の難峰を色々と熟しているが...、もう50才も近いので最後のチャンスか...」とも語っていたのを、ふと思い出したからだった。
この遭難のニュース、最初はパキスタンの外交部からの連絡で、2人の名前は挙げられなかったが、直ぐに2人が所属する石井スポーツから発表があり、やはり遭難したのは平出&中島コンビ。それも西壁のかなり高い場所から滑落、ヘリコプターの乗員がその模様を見ていたようで落下地点も判明している(どうやらこの登攀を撮影しているクルーも乗っていたのでは...)が、およそ人を寄せ付けないあの恐怖の大岩壁だけに、滑落場所が分かってもその安否は不明、救助活動に向かうことも困難で、この原稿をモノしている時点では、所属の石井スポーツもどう対処して良いのか(2次遭難の危険性も大)、決めかねているようだ。
このニュースはこと山好きや山(岳)行に関心ある方ならば、殆どの人がその行方を固唾をのんで注目している筈で、ぼくも含めオリンピック以上の最大関心事なのは間違いない。あのエベレストを踏破したスター登山家の野口健も「あの2人ならば大丈夫とは思うが、その安否の件で夜も殆ど眠れない...」とも語っていたが、この気持ちは山好きならば誰もが一緒だと思う。平出と中島、この2人は世界の山岳界の最高栄誉であるピオレドール賞をそれぞれ数回も受賞している、世界でも屈指のクライマー。そのうえ彼らはNHKの山岳ドキュメンタリーなどの主役を務めると共に、また山岳カメラマンとして裏方も務める...と言う、いささか皮肉な活躍振りでもあり、クライマーとして生きていく難しさは、ある意味ここら辺からも伺えるとも言えそうだが...。
面白いことにはNHKBS放送で人気の「田中陽希の日本百名山踏破シリーズ」。平出はその撮影クルーの一員でもあり、主役の田中と一緒に山を駆け、また彼よりも早く登りカメラを回し続ける。その姿が時々画面に映り込み、ああまた仕事してるなーと見てるものを和ませもする。一方中島の方は無類のドローン撮影の名手で、BS放送のヒマラヤトレッキングシリーズでは、主役としてその明るくユーモラスな言動で山好きを喜ばせた。正にその登攀技術だけでなく、その人柄・個性でも群を抜いたスタークライマーだった。
今はただ2人が生き続けていること、そして無事に戻って来てくれることを知り合いでもない、山好きな一ファンとして切に願いたい...と、コラム記事を送稿した半日ほど後、ニュースはこう告げていた。「K2遭難救助は、家族の了解のもと救助を見送った...」余りにも現実は過酷で厳しい。クライミングとは...、クライマーとは...。今は何も言葉がない。ただ2人の無念さを偲ぶだけだ...。この無類のクライマー魂を有した、不世出の登攀家、平出&中島の無垢の魂に 深く黙祷!
【今週の番組ゲスト:今週から3週連続ラテン特集。第1弾は、チカブーンのリーダー森村あずささんと
ラテンパーカッショニスト ひごたくみさん】
M1「Melao De Caña / Haila Mompie」
M2「Cordillera de Montañas / Los Munequitos De Matanzas」
M3「Caminos de Ifá / Adalberto Alvarez Y Su Son」
M4「Duele / Omara Portuondo」



