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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.572~タンゴの巨星・小松亮太】

 ジャズよりも長い歴史を持つとも言われるタンゴ。もちろん南米アルゼンチンを代表する情熱の音楽で、ぼくも大好きなサウスアメリカ音楽だが、この古い因習に捉われていた伝統音楽を、現代の息吹を保つ若々しい音楽~モダンタンゴへと変貌させた立役者が、言わずと知れた鬼才アストル・ピアソラである。ひと頃はフィギュアスケートの国際大会などでも、ピアソラのタンゴが良く伴奏曲として取り上げられ、タンゴと言う存在、そしてピアソラの名前も一般に知られることになったが、彼はまさにジャズ界のマイルス・デイビスとも比較されるべき偉大な存在でもある。

 そんなピアソラに影響され、憧れ、難楽器でもあるバンドネオンを習得、一躍日本のタンゴ界にセンセーションを巻き起こしたのが、若き天才、小松亮太である。彼は両親がタンゴ奏者と言う環境にあり、必然的にタンゴの径へと進んだ...とも思われがちだが、第一人者になるためのその努力は全く凄いものがある。今や押しも押されぬ日本のタンゴ界の屋台骨を背負う存在の彼が、ピアソラ生誕100周年に当たる今年、大部のタンゴ書籍と祝ピアソラとしての記念アルバムを同時に発表した。このニュースを新聞で知り、これは是非とも久しぶりにスタジオに呼ばないと...と思い、出版社とレコード会社双方の担当者を通じ彼とコンタクトを取り、今回スタジオに遊びに来てもらうことになった。彼の登場は何と20数年振りのことで、まだ彼がデビュー前と、デビューして直ぐ、その2回以来の登場となる。本当に懐かしくも嬉しい限りで、果たして巨匠になってしまった彼が...、といささか心配したのだが、重いバンドネオンを抱えながら、以前と変わらぬ飄々とした態度で、彼はスタジオに現れてくれた。

 彼が著した「タンゴの真実」(旬報社)は、400ページを超す日本初の本格的タンゴ紹介本で、歴史から楽器の話、ピアソラを筆頭にタンゴの巨匠達を語る等々、実に内容豊かな凄い本である。アルバムの方はピアソラ100周年記念で、ピアソラの大作「バンドネオン協奏曲」を新日本フィルと彼が共演したもの。このアルバムの中には、タンゴ歌手として世界的に知られる女王、藤沢嵐子のラストコンサート(91年)も1曲収められており、まだ若かりし頃の彼がバックで参加していた、この「ロコのバラード(ピアソラ曲)」も、番組では紹介している。

 肝心の番組の中身だが、本当に久しぶりの登場だけにタンゴ本からオーケストラとの共演等々、途中に持参のバンドネオンをかき鳴らしながらも彼のタンゴ愛など話題は尽きず、あっという間に番組終焉。余りにスムーズに進行しすぎたせいで、予定では彼のバンドネオンソロでエンディングを迎えるはずが、時間が無くなってしまい、彼の妙演をリスナーにお聞かせ出来なくなってしまった。誠に申し訳なく、小松君もいささか残念そうではあったが、また次回顔を出してくれるとのこと。この次は20数年などと言うインターバルでは無く、直近の登場となるのは間違いないと思います。小松亮太。日本のタンゴシーンを担う本当の巨星です。

【今週の番組ゲスト:バンドネオン奏者の小松亮太さん】
新譜「ピアソラ バンドネオン協奏曲他」から3曲
アストル・ピアソラのアルバムから1曲
M1「バンドネオン協奏曲 第一楽章」
M2「ロコへのバラード」
M3「A FUEGO LENTO〜とろ火で」※ピアソラの演奏
M4「雨あがり〜after the rain〜」


 



















































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