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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.212~コルトレーン・シンポジウム~】

 7月という月は熱心(コア)なジャズ・ファンにとって、忘れられない月なのである。と言うのも、今またいくらか増えつつある都内のジャズ喫茶(ジャズを聴かせる店)、それもかなり古くからある老舗のジャズ喫茶では、この月には良く特別企画が組まれたりする。その企画とは亡きジョン・コルトレーンを偲んでの追悼企画。ことほど左様にトレーンの愛称で親しまれているコルトレーンは、日本のジャズファンに今なおカリスマとも言える程の、強い影響力を保持しているのである。その彼が亡くなったのは、もう40年以上前の1967年7月17日のこと。帝王マイルス・デイビスをはじめ、ビル・エバンス、マイケル・ブレッカーなど、多くのジャズカリスマをジャズ界は失ってきたが、その死亡月が強烈に印象に残っているのは。トレーン位なものでは無いだろうかと思われる。

 ぼく自身のジャズ経験から言っても、大学生から30才台初め頃まではコルトレーン一辺倒で、特に大学の頃はまさに「コルトレーン神」と言った状況。新宿や渋谷、高田馬場など都内各地の暗いジャズ喫茶で彼を一心に聴き続けたものだった。しかしある時から彼の醸し出す世界(フリージャズに傾倒して行った晩年期)の余りの重さ、暗さやそのジャズ殉教者風の佇まいにいささか耐えられなくなり、自然と彼から離れてしまった。しかし今でも全盛期の彼の演奏を時々耳にすると、その圧巻のパワーには脱帽状態になってしまう。また彼の後続サックス奏者達に与えた影響も絶大で、今なお若手のサックス奏者達は一度は彼の関門を通過しなければ大成出来ないのも紛れもない事実である。ただジャズ界全体への影響力と言う点では、トレーンは夭逝(享年40才)したこともあって、帝王マイルスにはかなり及ばないとぼくは思っているのだが、圧倒的なジャズカリスマであることは間違いない。因みにぼくのお勧めアルバムは『マイ・フェイバリット・シングス』(Atl)と『バラード』(Imp)だが、このころのものはどれも素晴らしい。

 さてそんな彼の「夏の死」が、日本のファンに強烈に記憶されているのにはある訳がある。それは彼が亡くなる前年の66年7月、彼は来日して全国主要都市を縦断するかなり厳しいコンサートツアーを敢行した。それでなくても3時間近いロングコンサートでサックスを延々バリバリと吹き続けるという試練に近い過酷なコンサートだけに、この過激さが彼の寿命を縮めたのでは...、とも噂されたくらいだ。そしてこの来日コンサートは、我らが早稲田大学モダンジャズ研究会にとっても一大事件で、ぼくら早大が中心になって(慶応、立教ジャズ研と共催)、公式記者会見の後に彼への公開質問会を開催したのである。この模様は当時のラジオ東京(現TBS)が録音、昨年その音源も正式公開された。それだけに我がジャズ研には色々と関係深いトレーンなのだが、そのトレーンを偲んで早稲田大学の小野記念講堂で「コルトレーンって本当にエライの?」と言うトークイベントを、早稲田ジャズ研主催で7月27日(日曜日)午後に実施することになった。ジャズライフ編集長の内藤遊人君やジャズ評論家の岡崎正道くんなどが登場、ゲストには新宿「ダグ」のマスターで世界的ジャズ写真家でもある中平穂積氏なども参加することになっている。このタイトル、コルトレーンを好きでないわがクラブのヒーロー=森田一義くん(タモリ)が命名したものらしく、彼も宣伝には乗らないがイベントには参加してトレーンについて語る筈なので楽しみにしていて欲しい。これがジャズ研主催のタモリ・ジャズクラブの第1回と言う事になるかも知れない。ぼくも会場に行けば何かしゃべらせられそうなので、どうしようかと今考えている所だが、入場料はダータ(ただ)とのこと、皆様もお気軽に会場に足を運んでみてはどうでしょうかね。

【今週の番組ゲスト】アルトサックス奏者の吉野ミユキさん。
メンバーが女性ばかりの吉野ミユキカルテットの新譜『STARTING POINT』から4曲お送りしました。
M1『I'm waiting for you』
M2『Alone Together』
M3『Starting Point』
M4『One Winter Morning』


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