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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.262~モンキー小林】

 日本におけるモダンジャズ開国は忘れもしない1960年。世は安保闘争に明け暮れそれから10年近い、動乱の時代の幕開けでもあったが、ジャズの世界ではこの年にアート・ブレーキー&ジャズ・メッセンジャーズ(JM)が初来日し大評判を集め「蕎麦屋の出前持ちも(彼らの大ヒット曲)"モーニン"を口ずさむ...」とまで言わせ、一大ジャズブームを現出、彼らがそれまでのスイングジャズなどとは決定的に異なった、新しいモダンジャズを日本中に根付かせたのであった。言うなればブレーキー&JMはジャズ開国の黒船的存在で、彼らに憧れ(音楽やファッション等々)、ジャズミュージシャンを目指す若者も少なくなかった。その後、新宿や渋谷にジャズを聴かせるジャズ喫茶が続々と誕生、ジャズは最先端の若者文化として定着することになった。

 そんなジャズ黎明期に秋田の地でジャズの洗礼を受け、長じてジャズドラマーになったのがモンキーの愛称で知られる小林陽一である。彼は何年か東京で活動した後、本場NYに渡りストリートミュージシャンとして現地の若いミュージシャンと共演、腕を磨いたのだった。その当時の仲間にはアルトサックスのビンセント・ハーリングなど、後にビッグネームになったミュージシャンもいて、ストリート仲間のハーリングとはグッド・フェローズなどと言ったバンドも結成し、何枚もアルバムを発表している。小林が率いるユニットはいくつかあるが、管楽器が入ったものはどれもが「JM」に象徴されるいわゆるハードバップタイプのもの。直ぐに口ずさみ易いかっこいいテーマを持ったナンバーが多く、今でもジャズファンのハートを揺さぶる好曲が多く、その内の一つトランペットとサックスの2管によるユニットは、ブレーキーの娘さん(シンガーでもある)のお墨付きで「ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズ (JJM)」と名乗っている。リーダー小林の愛称のモンキーはお猿のモンキーでは無く、セロニアス・モンクのモンク(高僧)の方の意味で、NYストリート時代の仲間が彼を見てそう呼んだ事から、一般化したとのこと。そしてその2管クインテットの面々は、トランペットの谷殿くんをはじめ全員がバークリー音楽院等本場のジャズ学校出身で、小林も「やはり本場でもまれてきた連中は違う」と絶賛しており、彼らに全幅の信頼を置いている。

 新作の「ノーノーノーノ―」は最近本格的に曲作りを始めたと言う小林の自信作で、タイトルはニューヨーカーが拒否の時にはノーを4回連呼するところから名付けられたものだと言い、如何にもハード・バップならではの格好いいテーマを持った好ナンバー。その他にもJMの「ダッド・デェアー」などハード・バップの十八番も並んでおり、あの良き時代のジャズの愉しさを想い起させてくれる夏軍な演奏が並ぶ。ジャズも進化し続けているのだが、愉しさの原点とも言えるこうしたガッツ溢れるプレーを展開し続けるモンキー小林とJJM。何時までも若々しくジャズを続けて欲しいものと願ってやみません。

【今週の番組ゲスト:ジャズドラマーの小林陽一さん】
M1『No No No No』
M2『Coisa n°10』
M3『Take Your Pick』
M4『Dat Dere』

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