【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.791~番組60周年~】
「テイスト・オブ・ジャズ」が今年の8月でなんと60周年を迎えることになった。前から番組は50余年の歴史...等と言っていたのだが、局のある人物がこの8月で60年だという編成資料を探し出してきて、それならば一つ特番でも...と言う話になり、7月21日海の日に、一足早い周年記念特番を放送することになった。山下洋輔や阿川泰子と言った錚々たるミュージシャンやシンガー、ジャズ雑誌編集長、そしてJ-ジャズ発展に大きな貢献を果たしてきた、「新宿ピットイン」の創始者にして会長の佐藤良武など、様々な面々のお祝いメッセージを集め、その方に関係するナンバーと共にお送りしようというもので1時間15分の長尺。
まあ普段は至極簡単にジャズ番組を制作しているのだが、特番となるとお祝いメッセージ一つでも収録するのが中々に大変。わずか3分弱の短いものだが、若い人は自身で簡単にメッセージを収録して送ってくれたりもするが、大御所と言うベテラン達はそうもいかない。東京の各地を都下から都心の街まで、チャンジー(爺さん)の身一つで右往左往しながら、お祝い収集の行脚旅。まあ暑い中疲れはしたが、それなりに意味もあった。
「テイスト・オブ・ジャズ」60周年、特番の中ではぼく自身も登場、番組の沿革や苦労話なども短く披露しているが、まあ本当によく続いたものである。これには音楽番組番外地だった「ラジオたんぱ(ラジオNIKKEI)」の局の特殊性もかなり関係していると思うが、長く続けさせてもらった局の編成関係者には、謝・謝の想いも強い。番組はジャズ関係者には良く知られた存在、局の先輩で今は亡き木全信がレコード会社に移籍、「お前が後を継げ」と言われてから50余年。ぼく自身も番組制作以外にいろいろな部署に移ったのだが、後輩のアナウンサーなどに頼んだりして、余り休止期間をおかずに続けてきた...と言う経過があり、まさに日本のラジオ界いや世界の中でも、稀有な存在の番組だと言えるのではないだろうか...。ご承知のように、短波という電波は前述のようにある意味音楽には適さないことを意味しており、それだけに局でも音楽番組、ことにジャズという些か枠に入らない音楽などは目の敵にされた時もあった。「何をあいつは趣味の番組で遊んでいるんだ...」などと、デスクの先輩から嫌味をよく聞かされたものだったし、後輩の中にもそんなことを言いふらす嫌味な輩もいた。何より出演するミュージシャンなどに、「小西さんこの番組誰がどこで誰が聞いているの...」などと言われると、こちらも些か逡巡してしまうこともしばしば...と言った苦い想いも多い。しかしこの30年ほどで状況は一転、特にラジコの登場は番組にとっても局にとっても大きな転換点だった。
まあ様々な紆余曲折を経て、番組はスタートからなんと60年。今回の特番では多くの方達が「60」という数字の重みを語ってくれたが、ぼく自身もそれをしっかり受け止め大切にしていかないと...と、今改めて思う。何より元気な山本郁嬢に期待するところも大なのだが、番組とジャズはマスト・ゴー・オン...と言った心境で、やれる範囲で頑張りますので、ご贔屓のほど...。
【今週の番組ゲスト:フリー編集者の池上信次さん】
『ジャズな映画 名作100ガイド』をご紹介頂きました。
M5「What's Wrong With That? / Robert Glasper」
https://www.shinko-music.co.jp/item/pid0655907/




