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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.261~映画Cu Bop(キューバップ)】

 本格的な夏の訪れとともに、ポップ音楽の世界でもサルサ、ラテンジャズ、ブラジルものなどの楽園音楽系が良く聴かれるようになってきた。楽園音楽と言えばもう一つ、ジャマイカ生まれのレゲエがあるのだが、ぼくはこのレゲエが全くダメ。あのリズムとメロディーがどうも体が受け付けない。まあこのレゲエはおいて置くとして、サルサ、ラテンジャズなどその他の音楽は楽園音楽の称号に相応しく、まさに夏本番にピッタリ。そんな夏向きの楽園音楽の時期に、その素晴らしさを強烈に印象付ける音楽映画が、渋谷の映画館でレイトショウとして封切られる。
 「Cu Bop(
キューバップ)」。ジャズに詳しい人ならばバップ+キュー(=キューバ)だからラテンジャズあるいはサルサ関連の映画だと見当がつくかもしれないが、まさにそのとおりのラテンジャズ関連音楽ドキュメンタリーなのである。この手の映画が日本で公開されるのは大変に珍しい事。その上このドキュメンタリー映画には知り合いの女性が当初から関わっていることもあって、番組でも是非紹介したいと思っていた所、その関係者から是非監督の高橋くんが番組で紹介したいとオファーがあり、二つ返事でOKを出した。

 
元々このドキュメンタリー映画が企画されたのは数年前のことで、3年ほど掛けこのほどようやく完成、劇場公開を迎えたのだった。映画の監督を手掛けたのはジャズなどを撮っているフリーカメラマンの高橋慎一。この高橋くんと一緒に制作を担当しているのが、芸大の作曲科出身で我が国屈指のキューバ音楽通の二田綾子嬢(と言っても女の子がいるので女史か...)。高橋くんのことは直接は知らなかったが、綾ちゃんとはもう20年来の知り合いで、10年程前にはラテンジャズ系の面白アルバムを紹介してもらうので、スタジオゲストに登場したこともある存在。彼女はぼくが行けなかった仲間とのキューバ音楽ツアーのコーディネイター役も勤めてもらった(このキューバツアー、言い出しっぺのぼくが台湾特番取材で行けなくなり、みんなから大いにひんしゅくを買ったトホホな思い出だが、彼女のおかげで実に愉しく有意義なものった様だ...)
 
 
そんな彼女から今キューバ人ミュージシャン2人に焦点を当てたドキュメンタリーを撮っているのだが、費用の問題や気まぐれなミュージシャン気質などで大変な作業と、何時もボヤかれていたので、完成はとうてい無理だろうと思っていたのだが、それが遂に完成、そのうえ「映画史上最も素晴らしいジャズシーンが収録されている」と、ロサンゼルスの映画祭で絶賛されるとは、全く驚き以外の何物でもない。

 
この映画は、ぼくも知っているキューバ在住のアルト奏者、セザール・ロペスと今は亡命してNYにいる若きピアニスト、アクセル・トスカの2人を追っかけたラテンジャズ・キュメント。上記の映画祭以外にも日本を代表する論客、アルト奏者でもある菊池成孔と、著名な評論家の四方田犬彦も絶賛しており、それだけでも見る価値あると言える。菊池は「全音楽ファン必見の音楽ドキュメンタリーの傑作」と言い、犬田は「故郷キューバを捨てた音楽家とそこに留まった音楽家との、両者の対決に立ち会ったスリリングな音と映像」と評価している。ぼくはまだこの作品未見なので、この2人の評価が正しいか...、果して面白いのか...は何とも言えないのだが、まずその評価は間違いないだろう。監督の高橋くんもこの2人が高く評価してくれたことを本当に喜んでいた。 封切りは7月19日から渋谷の「アップリンクファクトリー」。週1回9月の末まで上映され、高橋くんと画家、音楽家、ライターなどのトークセッションも終映後に行われるというもの。 高橋くんは綾ちゃんと同じように偶然キューバに行きどっぷりと嵌まってしまった、ある意味でのキューバおたく。しかしこうしたオタクならば大歓迎で、実に情熱的な好青年。ぼくも今月中には是非見るつもりですが、もしラテンに関心があるならば是非見て下さいネ。才媛の綾ちゃんもこんなに素晴らしく仕上がったのは...と感激していたのですから。

【今週の番組ゲスト:今週19日から上映が始まる注目の映画『Cu Bop』監督の高橋慎一さん】

M1『DEL SASSER / Los CUBANOS』
M2『Blue Bossa / HABANA JAM SESSION』
M3『UNTIY / UNTIY』

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