「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.737~ある精神科医の生き方~】
混迷の時代と言われて久しい。特にIT化が急速に進んだ時代だけに何かと効率的で便利にはなってはいるが、それが返って時代の混迷度を深めており、第2次大戦が終わりこれからは平和と安定の時代...等と謳われたぼくの子供の頃の理想主義や平和主義などは、もう日本や世界のどこにもほとんど見いだせない...、と言った悲観的な感じにもなってしまう。
そんな指針も無く、人や社会との関りも難しくなっているこの時代。それだけに医療の分野でも精神科や心療内科...と言った、心の問題~精神領域を扱う医療分野はますます重要度を増し、それを担う医師をはじめ看護師、福祉士など、その負担も増してきている。欧米では昔から精神科~心療内科に人々は結構気楽に通い、躁鬱症気味のウディー・アレンの映画作品などでは、彼がしょっちゅう精神科(&心療内科)の医師のクリニックに通い、メンタル相談を受ける場面等も登場する。しかし日本ではまだこのメンタル部門には、そう気軽に相談...とも行かないようで、迷っている人達も少なくないと思われる。
ところでぼくがラジオ局員になったばかりの頃、いくつかの医学関連番組を担当させられたのだが、その中で最も問題だったのは精神科関連の番組。当時大学の学園闘争が華やかな時代で、医学関連では精神科の改革...と言うのが最大の課題だった。当時の精神科病棟は今とは大違いで、その前の悪い時代を引きずり、本当の監獄(刑務所)の様な鍵付きの閉鎖病棟&部屋、患者の人権などは完全無視...と言った酷い状況で、これを改善せねば...と言うことで、医学生達の運動が進んで行ったのだが、番組の企画委員は権威主義の旧態依然の精神医ばかりで、どれも改善のかの字も出ない連中、出席するのも実に苦だった。それだけに精神科の医師には、今でもいいイメージは無い。
そんな中、ぼくのあまり良くないイメージを一新、新しい時代の息吹を感じさせる精神科医師。その一人が、エッセイストとしても知られる香山リカさんである。彼女は立教大などでも教えており、社会的な問題にも向き合い積極的に発言する活動家の側面も持ち合わせ、実際の臨床現場でも働いていたこともある。ワイドショウなどの常連で、そのコメントは的確で何より人の悩みに寄り添う...と言う、精神科本来の営みに優れており、一度は一緒に番組でも...と考えていたが、果たせないまま今に至ってしまっている。そう言えば最近は彼女の姿も、TVなどで目にすることも無くなり、どうしているのか...といささか気掛かりだったが、ある日の新聞でその生き方が取り上げられており、彼女こそ人と向き合う医師...だと、改めて感じ入った次第。
その特集記事によれば、彼女は長い間教えていた立教大教授の職を辞し、今は色々と勉学に励んでおり、同時に北海道のむかわと言う町の診療所所長として、週のうち何日か診療に当たっており、東京と北海道往復の日々だと言う。彼女はあのアフガニスタンで殺害された人道派医師~中村哲氏の死亡を知り、改めて医師の社会貢献の重要性を再認識。そこで再度医療を学び直し、北海道むかわ町の診療所で地域医療の一医師として働くことを決めたのだと言う。母親は立教大教授の職を辞めた時には、本当に残念がったと言うが、その決断は流石だし、立派でもある。ぼくなどには大学教授を辞めて地方に...等と言う考えには到底なれないが、いくつになっても人はチャレンジ。世のため人の為に頑張らなければ...。自戒を込めて痛感した次第。
【今週の番組ゲスト:Eight Islands代表 プロデューサーの八島敦子さん】
M1「Beyond Affinity / 大林武司TBN TRIO」(『THE BIG NEWS』より)
M2「Drizzling Rain / Banksia Trio(『MASKS』より)
M3「The Park Hopper / 小曽根真Trinfinity」(『TRiNFiNiTY』より)
M4「Lean In (featuring Mark Guiliana)/ Gretchen Parlato&Lionel Loueke」Mark Guiliana」(『Lean In』より)







