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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.311~はな子&カシアス・クレイ等々】

 我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」では、この4月から毎月月末の時間は、評論家の青木和富氏を招き「ジャズのお勉強」と言うことで、ジャズ史をベースに様々なジャズのお勉強をしようという企画を実施中。今回は第3回でいよいよジャズのスタート時点、ビ・バップに突入。バップとは騒々しいと言ったスラングのことだが、この音楽を作り上げた天才バードことチャーリー・パーカーをメインに、彼とタッグを組んだディジー・ガレスピーなど、モダンジャズの創始者とも言える巨人達にスポットを当てることとなった。パーカーはクリント・イーストウッド監督(大のジャズ好きで息子はジャズベーシスト)の映画「バード」でお馴染みの存在だが、まさにジーニアスそのものとも言える天才プレーヤー。これぞジャズメンと言う典型的な破滅型プレーヤーでもあった。従来のスイングジャズを革命的に変化させた彼のプレーは、録音状態の悪さなどもありファンには意外なほど聞かれることも少ないのだが、今回はそのプレーとじっくり向き合おうと言うもので、ジャズの「大本」をこの機会に皆様もご堪能下さい。

 
さて番組の方はこんな感じだが、ぼくなりに感じ入る事柄がこの所多々ある。そのまず第一は、象の「はな子」の死。井の頭動物園で亡くなった最長齢のこのインド象、ぼくが小学生時代に上野から井の頭動物園に引越し、娯楽のない時代には大人気の存在だった。杉並区のお坊ちゃんヴァイオリ二ストだったぼくは、同区の小学校代表の一人として学校から派遣され、この象の一日飼育係代理を、学校一の美少女と共に行った。この当時はほとんどの子供が貧しく、いわゆる原始共産制の中にあったとも言えるのだが、彼女は隣のクラスで学校一の金持ち~土地持ちの美人の子として知られていた。高円寺の駅から2人で井の頭動物園に向かうその間も、また園に着いてからも、ぼくは緊張続き。肝心のはな子のえさやり作業などは良く覚えていないが、2人で園のお弁当を食べ語り合ったことは印象に残っている。当時はお金持ちの娘は美少女、と相場が決まっていたので、その日だけで後は接触はなくなってしまったが、今も楽しい思い出の一つだし、身近で見たはな子の人気も凄いものがあった。その象が...,何か寂しい。

 
そして死亡ニュースと言えばもうひとつ、世紀のボクサー、カシアス・クレイことモハメッド・アリの死。齢74というから、こう見るとぼくとそうは違わないのだが、その本名のクレイは、白人から与えられた奴隷の名前だとして廃棄、イスラム教に回収したモハメッド・アリ名を堂々と名乗り、敢えてベトナム戦争の従軍拒否を敢行、世界タイトルを剥奪...と、まさにアフロアメリカンの代表格として差別撤廃などに孤軍奮闘して戦った信念の人でもあった。その姿は学生運動華やかなりしわが国でも、その果敢な行動は若者の英雄として大きくクローズアップされ、永遠のボクサーとして名前を残すことになる。タイトル剥奪から数年後のアフリカ・ザイールでの無敵ジョージ・フォアマンとのキンシャサ・リベンジ・マッチ。この凄みたっぷりな試合を、もう一人の時代ヒーロー、作家のノーマン・メイラーがドキュメントした観戦記も最高の内容だった。さんざんフォアマンに打たせまくって防戦一方、それを第8ラウンドに「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と言うあの有名なキャッチフレーズ通りに一発パンチでKOしてしまう。まさに凄いの一言。以降はパンチドランカーの常として体を壊し、表舞台には現れなくなるが死ぬまでアリは、黒人達そして世界中の戦うもの達の真のシンボルだった。

 
その歴史的キンシャサ激戦から数年後に我が国で新しい装いの雑誌(ぼくたちの気分を代弁してくれるような雑誌)が、それまで歌謡雑誌「平凡」で売っていた出版社から出された。「ポパイ」である。当時のアイドル雑誌「平凡」を発行する平凡出版は、若者カルチャーを代表する「マガジンハウス」と名前を変え、一躍時代の気分をリードすることになる。それから40年、「ポパイ」今月号はその40周年記念号で創刊誌(ウエスト・コースト特集号)がオマケで付いている。オマケには弱い性格なので直ぐに買い求めてしまったのだが、その最新号の面白くなさ。やはり今の時代からは大分ずれてしまった感もありあり。かつて「ラジオ・ポパイ」等と言った相乗り(共同企画)の2時間特番をオンエアーしたりして、編集部とも良くコンタクトを取り合って、新しいラジオ番組と新たな雑誌を作ろうとしていた、あの時代の面白さ・意気の良さ。もうはるか昔の時代になってしまったのだ。今はあの当時の「ポパイ」のような雑誌はない。いささか悲しいし、残念でもある。
【今週の番組ゲスト:「ジャズのお勉強」第3回 先生は音楽評論家の青木和富さん。Bebop...モダンジャズの始まりについてお話いただきました。】
M1「DIZZY ATOMSPHERE/CHARLIE PARKER&DIZZY GILLESPIE」
M2「WHITE CHRISTMAS/CHARLIE PARKER」
M3「THE CAMP/DIZZY GILLESPIE」
M4「INDIANA/BUD POWELL」
M5「9月の雨/GEORGE SHEARIN'G」

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