【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.785~ライブハウスの閉店~】
銀座の老舗ライブハウス「スイング」が、開店50周年を迎える来年春にも閉店する...というニュースが、つい先ごろ流れた。まだ決定事項では無さそうだが、ほぼそうなりそうだとも聞く。寺井尚子とか海原純子などここでのライブには、仕事絡みもあり何回か足を運んだが、銀座という場所柄も関係し、そんなに頻繁に行くことも無かった。中々に品格あるライブハウス(レストラン)だが、新宿の「ピット・イン」や西荻の「アケタの店」などを贔屓にしている庶民派(金無し派)のぼくとしては、いささか敷居が高かったのもまた事実だった。
それにしてもジャズのライブハウスが、また一つ消えてしまうのは残念なことでもある。しかし新宿で長年頑張ってきたぼくらの店、あの新宿「J」。その閉店に伴い大学クラブ同期のオーナー兼マスター、バードマン幸田こと幸田稔くんの閉店に伴う、一大苦労を知るだけに、やむを得ない...と言うか、閉店ならばなるべく早く...と言った想いも強い。しかしこうしたジャズのライブハウス、60周年を迎える大看板の新宿「ピット・イン」を筆頭に、都内各所に結構な数があり(地方都市でもそうだろう...)、どれも苦しいながらかなり頑張ってもいる。わが街=国立でも、ジャズライブを定期的に行う店、いわゆるライブハウスは3店ほどで、どこも客集めには悩みながらも奮闘しており、歩いても行ける近場な処なので、それなりにはライブも聴きに行ったりしている。特にここ2年ほどは、学生時代からの長い付き合いのベースの重鎮、チンさんこと鈴木良雄が国分寺に移って来て、国立や国分寺のライブハウスで演奏する機会も増えたので、ぼくの地元ライブハウス詣出の回数も、断然増えてきた感もある。
ところでこうした都内のライブハウス、前述するようにジャズの衰退気運と共に、間違いなく苦戦を強いられているのだが、同時に救いの神的な要素も見られるようで、それがインバウンド客の増加なのである。流石に国立や国分寺ではこのインバウンド効果も殆ど無いノだが、「ピット・イン」や「ボディー&ソウル」「アルフィー」などと言った、都心の有名店ではかなりその恩恵に浴している傾向アリなのである。この前も土曜日の午後にお茶の水で打ち合わせがあり、その後に神保町のご贔屓店「アデュロン・ダック」に寄ってみると、珍しくライブをやっており、丁度ライブ終わりの時だった。この日の店は超満員。週1から2日ほどここではライブをやるのだが、土曜日は珍しくそれも大盛況。客の話をそれとなく聞いていると、中国語や韓国語が飛び交い、それにフランス語なども...。実に国際色豊かなのである。マスターの滝沢さんに聞くと、全く知らない面々が、ガイドブックらしきものを片手に来店して来たのだという。30人ほど入れば満杯のこぢんまりとした店だが、ジャズを通じての時ならぬ国際交流が実現、頬笑えましい風景だった。
このところの日本のジャズ、全体にはイマイチ調子に乗れない感強しなのだが、前にこのコラムでも書いたように、NYでは日本風のジャズ喫茶が幾つか登場して好評だったり、またこうした東アジアや欧州各国のインバウンド音楽(ジャズ)ファンの来日増加によって、J-ジャズにも新たな展開・希望が望める...のかも知れない。どうやらヒョンなことから、J-ジャズの今後に、仄かな望みを抱けそうな感ありで、これはまあ喜ばしいことだとも言えそうだ。
【今週の番組ゲスト:ドラマーでタブラ奏者の大村 亘(こう)さん】
DAVY MOONY & KO OMURAの『The Word』から
M1「SHEEP WASH」
M2「THE WORD」
M3「EKTAAL」
M4「MAYBE」




