「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.735~神野美伽「ブギウギ」~】
神野美伽という演歌をメインに扱う歌手がいる。ぼくはその方面はあまり詳しくはないのだが、紅白歌合戦にも出場しかなりな実力派だとは聞いているが、そのヒット曲などは殆ど知らない。そんな彼女がある知り合いを通し、ぜひ我がジャズ番組に...と言ってきた。どうも彼女の存在とジャズが結びつかない。聞いてみると彼女が笠置シズ子のブギウギなどその持ち歌をメインにしたアルバム、それもバックがクリヤ・マコト以下納浩一や中川英二郎等など、超一流の面々をバックにしてのアルバム...と聞いて、これはと思ってそのアルバム『ブギウギ』を聞いてみると、これがなかなかにグッド。それで直ぐにOKを出し彼女がスタジオに遊びに来ることになった。演歌歌手のジャズ番組出演...、一体誰以来なのかはしかとはしないが、確か日野美歌や八代亜紀以来なのでは...とも思われる。だがそれも20年以上も前のことで、本当に久々の演歌歌手登場となった。
彼女はやや小柄だが、実に愛想の良いチャーミングな女性。ジャズなど無縁な存在で"朝ドラの「ブギウギ」の好評を受けてのいささか安易な企画か...などと思ったのだが、これがさに非ず。彼女自身は以前にあの人気ジャズコーラスユニット「マンハッタン・トランスファー(マントラ)」の一員ジャニス・シーゲルとのデュオを吹き込んだり、アメリカでのクラブライブなどもあり、現地では演歌ディーバの別名を付けられたりもしている...という話を聞き、こちらの不明さに恥じた次第。
ぼく自身が日本ジャズの先駆者として、エノケンと並んで最重要人物と考えている笠置シズ子についても単なる朝ドラ便乗企画などではなく、彼女自身がコロナ禍の前にシズ子を題材にした音楽劇に主演し、そこでたっぷりと彼女の歌を歌い、それを是非アルバム化したいと思い、数年掛けてようやく実現したものと知って、その粘り強さにも感嘆したものだった。まあそんな具合で彼女の出演は好評で無事にオンエアーも終了した訳だが、そのときに話に出ていたこのアルバムの発売ライブが、先日丸の内の「コットン・クラブ」で行われた。ぼくと山本嬢も招待を受けコットンに行ってきたが、流石に人気の演歌歌手のライブ。ファーストセットはソールドアウトでセカンドだったが、こちらも超満員で実に賑やかなこと。バックもアルバム同様、クリヤ・マコト(p&ar)以下の豪華な面々の揃い踏み。
彼女は定評通りの流石の実力者。ジャズを歌わせても凡百のジャズシンガーなどを凌駕するほどの上手さだし、その声量も豊かで堂々としており、あたかもミュージカルスターのライブを聴いている感もあった。笠置シズ子の東京やジャングルなどのブギ各種については、上手いのだがいささか綺麗過ぎな処もあり、もう少し猥雑さも欲しい気もしたが、亡き先輩を偲んで...ということで八代亜紀の「舟唄」やひばりの「さのさ」のジャズバージョンなどは絶品で、歌の芯をしっかり掴んで表現するその力量には改めて感じ入った次第だし、1時間強のステージを一気に歌い綴って行く、そのエンターテイナー振りにも感慨ひとしおだった。良いライブ、堪能させて貰いました。有難う!
【今週の番組ゲスト:サックスプレイヤーの纐纈歩美さん】
新譜『Limpid Flame』より
M1「Quiet」
M2「Limpid Flame」
M3「Leap」
M4「Move」




