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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.414~期待のオルガン奏者】

 ジャズシティーと言えば、やはり大都市NY=アップルコアと言うことになるだろう。ぼくなどより上の世代では、いやそれは発祥の地ニューオーリーンズだよ...などと言われる方もおられかも知れないし、中部の大都市、セントルイスを忘れては困るよ...などと通ぶった注釈を語られる方も...いるかもしれない。ただ誰もがジャズにとって、NYと言う大都市の存在を第一義に考えるのは至極当然とも言えるだろう。しかしこのNYにも匹敵するジャズシティーとして、ウインディーシティー(
風の街)の別名を持つ大都市シカゴの存在を忘れることは出来ない。ジャズとブルースの街、シカゴ。

 
この街はモダンブルースの聖地でもあり、ジャズでもNYとはまた一味異なった「シカゴジャズ」とも言えるある流派()を構築しているジャズ都市でもある。それだけにNYよりもこの街を目指し、日本から修行に向かう若者もいる。そんな一人が今回番組に登場してくれるジャズオルガンの若手第一人者、土田「ハル」晴信くん。彼はこの5月に日本で初めて本格的なリーダー作を発表(シカゴや欧州既にリーダー作を発表している)、そのライブアルバムのライナーノート(解説)は、ぼくが担当させてもらっている。
 
横浜っ子の彼は高校時代からブルースにはまり、学業の傍らライブハウスにもオルガン奏者として登場する、かなりなやり手だったようだが、入学した大学を中退し本格的にブルースを学ぶため、聖地のシカゴへ単身渡り現地の音楽大学に入る。同時に黒人街のライブハウスでも活動を開始、音楽大学では本格的にジャズを学び、徐々にブルースからジャズに軸足を移行、シカゴのジャズシーンでも名前を上げていくようになる。シカゴ時代には2枚のアルバムも自主制作、現地では「ハル」の愛称で11年の長い期間活躍を継続、有望な若手として知られるようになる。その後日本に活動の場を移すも数年でドイツ・ベルリンに居を移し、同地をはじめ欧州各地で数年間活動を展開、数年前に再び横浜の地に戻ってきた...と言う、かなり興味深い経歴の持ち主。

 
ぼくがその存在を初めて知ったのも欧州から帰国直後のことで、毎年番組で取り上げる秋の横浜ジャズ祭「ジャズ・プロムナード」の紹介番組で、ゼネラルプロデューサーの柴田氏が有望新人として連れて来たのが彼だったのだ。彼が持参したアルバム(欧州の名門レーベルで、現地の有力な面々とレコーディングしたもの)を聴かせてもらい、その優れた内容に直ぐにファンになってしまった。まあそんな縁もあり日本での初の本格的デビューアルバム『サニー/ライブ・アット・アデュロン・ダック』では、アルバム解説を頼まれることになったのだが、この作品はぼくのご贔屓の神田・神保町にあるジャズカフェ「アデュロン・ダック・カフェ」でのライブ収録盤。彼が日頃行動を共にしている若い面々によるオルガントリオ(ギター、ドラム)でのライブ演奏で、シカゴ時代にしっかりと培った生のブルース感覚に、日本人的な感性もプラス、言わば「横浜発シカゴ経由」とも言える若々しいオルガンジャズを届けてくれており、番組でもその彼のシカゴ時代の面白いエピソード等もふんだんに紹介してくれている。それに彼はシカゴ歴11年で英語もペラペラ、奥さんはドイツ人で日本の漫画翻訳兼紹介業、その関係でドイツ語も堪能。素晴らしい才人でもあり、慶応大がその才に目を付けて講師として要請、毎週「ジャズ史」を英語で教えているとも言う。期待の若手と言うよりも、もう中堅と言った方が正確か...。「ハル」くんは、素敵なオルガン男である。

【今週の番組ゲスト:ジャズオルガンプレイヤーの土田晴信さん】
日本デビューアルバム「SUNNY」から
M1Next Time You See Me
M2Yours is My Heart Alone
M3Something You Got
M4I'm Confessin'

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