「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.678~ジャズ歌手・山下久美子】
ぼくはこれ迄ジャズを中心に聴いて来たので、日本のロック状況などは余り詳しくない。特に女性のロックシンガーとなると、プリプリの愛称で知られる「プリンセス・プリンセス」のメインボーカルの奥居香や、ソロシンガーでは小比類巻かほる等、ほんの少しだけ。そんな中でも山下久美子と言う名前は、これまでも時々目にしており、和製ロックの女王はたまた学園祭の女王等々、そのヒット曲などは知らねど名前は聞く...と言う存在だった。その彼女確か某ロックシンガーとの大揉め離婚騒動等と言うこともあったとも記憶する。
そんな和製ロック女王の名称で知られる彼女が、なんとこの度ジャズ歌手デビューを果たした...と言うニュースを知らされた。それもそのデビュー作のプロデュースを担当しているのが、我がジャズ研の後輩でサックス奏者の渡辺康蔵君だと言う。これはもしかして...と思っていると、案の定TELありで「先輩、今度久美子さんのジャズアルバム出すことになったんですよ。是非テイスト・オブ・ジャズのゲストに呼んで下さいよ...」とのこと。聞くところによると山下久美子さんと康蔵君は、彼女のデビュー時代(コロンビアレコード)からの付き合いで、彼女がジャズアルバムを出すことになったのも、康蔵君のアドバイスが大きかったと言う。山下久美子と聞いても無知なぼくは至って冷静、というか、ただ知らないだけなのだが、パ―ソナリティーの山本郁嬢などはいささか興奮気味で「これは何が何でも出演してもらわないと...」等と宣う。
と言うことでロックの女王の出演交渉を進め、目出度く出演が決定。忙しい中彼女も喜んで...と言うことでスタジオに来てくれた。今回の彼女のジャズアルバムのタイトルはロックなテイストを交えて『ジャズン・クミコ』。「バイバイ・ブラックバード」「ムーングロー」などと言ったスタンダードナンバーがメインの全11曲収録のアルバムだが、「こっちをお向きよソフィア」や「シャンプー」と言った彼女の往年のヒット曲(ぼくは知らなかったが名曲とのこと)のジャズバージョンも加えている辺り、ファンには応えられない所なのだろう。
元々彼女は笠置シズ子(日本初の本格的ジャズ歌手)や美空ひばりのジャズ歌謡なども好んで聴いていたらしく、「ジャズは結構子供の頃から身近にあったんです...」とのこと。敬愛するロックシンガー、リッキー・リー・ジョーンズがジャズを歌っているのにも大きなインスパイア―を得て、彼女もジャズにチャレンジしてみたいとも思っていた所、今回の話が来たようで、思い切ってやってみましたとも語る。ぼくも大好きなリッキー・リーとは大分趣きも異なるが、ここでは久美子流のジャズが無理ない形で提示されているふうに思える。バックは若手中心の面々だが、数曲でフィーチャーされるサックスのビリー・ジーンのプレーが最も印象深い。なによりスタジオで感じたのは、彼女の人柄の良さで、結構苦労した人だけに話も興味深いもの。「ジャズな久美子~ジャズン・クミコ」は、また間違いなく新たなファンを獲得する筈。素晴らしいチャレンジだと思います。
【今週の番組ゲスト:シンガーの山下久美子さん】