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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日22:00-などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.149~日本をこよなく愛したジャズ・プロデューサー~】

 日本はアメリカに次ぎ世界第2のジャズ大国などとよく言われる。最近でこそレコード不況の影響もあって、余り新しいアルバムも登場することが少なくなってしまったが、かつてはアメリカを凌ぐほど日本のレコード会社各社は、アメリカ&ヨーロッパのジャズ・レーベルと積極的に契約を結び、数多くのジャズ・アルバムを出したものだった。それだけにジャズをメインにするレコード・プロデューサー達、ECMのマンフレッド・アイフャーや、キャンディドのアラン・ベイツ、リバーサイドのオリン・キープニュース等々、誰もが日本好きを公言し、しばしば日本を訪れたりもしたものだった。

 
 そんな中で最も日本好きとも言えるのが、ドイツ人のホルスト・ウエーバーだろう。

「enja」と言うジャズ・レーベルのオーナーだった彼は、昨年2月に肝臓がんの為に亡くなってしまったが(享年78才)、来日回数40回余り、なんと服飾ディーラーからの転身で、ジャズ・レーベルを立ち上げたと言う経歴の持ち主。このレーベル立ち上げには、日本のジャズ関係者が大きく関係しているのだが、このほどその死を悼んで、同じドイツ出身のピアニスト、ティチアン・ヨーストによるオマージュ作品『さよならの記憶』が出された。そこで番組でも「enja」誕生の立役者となった、新宿の主、ジャズ喫茶「DUG」のマスターにしてジャズ写真家の中平穂積氏と、長年「enja」の担当ディレクターとして彼と付き合いのあった「ミューザック」の代表、福井亮司氏を招き、ホルストについていろいろと語り合ってもらうことにした。彼をジャズ・プロデューサーへ仕立てた中平さんは、彼の大親友。山中湖にある中平さんの別荘へも良く泊まりに来て、釣りを楽しんだりしたと、その交友を語ってくれ、彼がホルストに多くの日本人ミュージシャンを紹介し、ここから日本人のアルバムも数多く出され、欧州のジャズ・ファンはJ-ジャズ好きも多かった。

 ホルストの恩恵を受けたミュージシャンも代表格は、山下洋輔と日野皓正の2人。「中平さんの紹介で知り合い、その後の豊かな時間を2人で共有した」(山下)。「兄弟みたいな人だから、何を話せと言っても無理だね、思い出がありすぎて...」とそれぞれが追悼盤にコメントを寄せているが、本当にJ-ジャズ紹介の功労者だったし、日本好きだった。

 ぼくも3度ほど中平さんの店で彼と飲んだことがあり、彼のプロデュースしたアルバムのライナーもいくつか書かせてもらったりして、大変に想い出深い。今はこうした個性的なジャズ・プロデューサーが少なくなってしまい、本当に寂しい想いがしますね。番組では2人がそれぞれ「enja」のアルバムを掛け、その思い出を語ってくれています。合掌! ホルスト・ウエーバー!

【今週のゲスト:新宿DUGのマスターでフォトグラファーの中平穂積さん(写真左)とMUZAK代表の福井亮司さん】
M1:ジョイフル・ノーヴェンバー/ティチアン・ヨースト・トリオ
M2:JIRGE/JULIAN
M3:ロック・マイ・ソウル/ブラック・グローリー
M4:ブー・ビー・ドゥー・ワップ/ティチアン・ヨースト・トリオ

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