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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.254~北島直樹】

 一般的に良く言われることだが、女優それもトップに近い女優ほど、その性格や行動などは男性に近い~男性的とされる。仕事的にも個人的にもその手の大女優とは余りお付き合いが無いので、その真偽の程は良く分からないが、かなり当たっているのでは...とも思う。まあ仕事の性格上からも、そうでないとやって行けないのだろうが...。これはジャズの世界でも似たような感じがある。今やJ-ジャズの世界でも女性上位傾向で、シーンを引っ張っているのは女性陣と言った感も強い。そうした女性陣~そのトップは当然あの秋吉敏子さんだが、それに続き現在第一線で活躍中の山中千尋や上原ひろみなどは、そのプレーや性格などかなり男勝りとも言える。そしてその筆頭を走っているのが寺井尚子。

 人気、実力ともに抜群な美形の彼女も前述の大女優達に近く、ユニットリーダーとしてもまた全体のジャズシーンに於いても、ぐいぐいと引っ張って行く男勝りの性向・指向の代表格だと言えるだろう。その女王~寺井尚子ユニットで、15年近くも音楽監督役を務めて来たのが、ピアニストの北島直樹さん。寺井と共に数多くのライブをこなし、アルバムも多数吹き込んでいる彼は、物静かな常識人(?)でほとんど怒ったりしない温和な人柄の持ち主。まあそんな彼だから、長い間ジャズクイーンと付き合えたとも言えそうだが、ぼくが彼と知り合いになったのは、これもボーカル界の大御所、マーサ三宅さんの久々のレコーディングの現場でのこと。マーサさん直々に頼まれてそのレコーディングのコーディネイター役とプロデューサー役を務めた時、音楽監督にマーサさんが指名したのが北島氏だった。このアルバムは幸運なことに翌年の「ミュージック・ペンクラブ」主催の音楽賞で最秀作品に選出され、マーサさんも大喜びだったが、寺井尚子、阿川泰子、そしてマーサ三宅と、こうした大看板達が絶対の信頼を寄せる北島氏。人あたりも柔らかくセンスも好いが、ある意味職人肌の持ち主で柔軟な反面かなり頑固な所もある、それなりに興味深い人物でもあった。
 そのレコーディングでのバッキングの巧さやアレンジの秀逸さにかなり心惹かれ、色々と話をしてみると、リーダー作はもうずいぶん以前に出したきりだと言う。それならばそのレコード会社の若い社長に持ちかけ、北島氏の久方ぶりのリーダー作を出そうと言う運びになった。その作品へのぼくの提案は、彼のソロとお気に入りのミュージシャンとのデュオで構成するアルバム。彼のオリジナルがメインになって出来上がったそのアルバムは、タイトルが『アローン&トゥギャザー』。アローン・トゥギャザーと言う有名スタンダードがあり、その曲もそのアルバムで取り上げてはいるが、アルバムはソロ(アローン)&デュオ(トゥギャザー)作だと言う事。この「&」がアルバムの肝になっていて、彼のオリジナルが数多いこのアルバム、関係者やジャズファンにも好評で、北島氏の代表作に仕上がった。まあこんな関係で彼とは因縁浅からぬ仲。

 その彼が今回ピアノトリオでの新作(4枚目)を出したと言う。ガーシュインなど有名スタンダードのオンパレードで、送られてきたテスト盤を聴くとこれがかなりいい出来栄えで、銘品『アローン&トゥギャザー』に勝るとも劣らないもの。そこで北島氏にスタジオに来てもらい、新作の聴き所、最近の仕事振り(宇崎竜堂さんのバックを担当)、また寺井さんの所を辞めた本当の訳など、色々と聞いてみることにした。いくらかシャイな彼だが寺井と言う大看板が外れた自由さからか、色々と良くしゃべってくれた。仲々に面白い内容です。乞うご期待!

【今週の番組ゲスト:ピアニストの北島直樹さん】
M1『I Got Rhythm』
M2『Beautiful Love』
M3『Tea for two』
M4『The Way You Look Tonight』

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