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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.565~犬派or猫派

  今の学生はどうか知らないが、ぼくらの高校生の頃は受験参考書と言えば旺文社全盛時代で、特に同社の受験生向け小型英語辞典(=豆単)を、英語の勉強では丸暗記したものだった。だがこの齢になるともうそれらもほとんど覚えてもいない。結構無駄な努力を払ったものだが、中には今でも記憶に残っている単語もあり、その一つが「キャッツ&ドッグス」である。これはもう皆様も良くご存じの筈だが、「イット・レインズ・キャッツ&ドッグス」と言う使われ方で、「土砂降り」と言った意味である。西洋では猫は土砂降りのシンボル、犬はそれに伴う強風のシンボルだそうだが、犬猿の仲ならぬ犬猫の仲も確かに土砂降りにも似たいさかいではある。因みにこの「キャッツ&ドッグス」に「ライフ」が付くと、喧嘩の絶えない夫婦生活となるのだそうだが、これも猫と犬との仲の悪さを象徴していて面白い。

 我が国では一時、犬派が完全に猫派を凌駕していたと言われるが、ここ数年の様子を見るとその傾向はどうやら逆転しているらしく、ペットショップなどでも猫の方が完全に人気で犬を上回っているとのこと。猫カフェはあっても犬カフェなるものは存在しない。これが果たしていい傾向かどうかは何とも言えないし、ぼく自身は元々猫派だと思いつつ(小学生時代には何と家で捨て猫も含め10匹近くいたこともある)、この30年近くは子供たちの希望もあり、犬しか飼っていなかったが、バカ犬ピーちゃんが数年前あっけなく昇天してしまってからは、もうペットとは無縁の生活。それだけに猫も犬も好きな両刀使いなのだが、ぼくのようなチャンジーになってしまうと、自身の後にペットだけが残ると言うようなことは考えられなくて、もう2度と犬も猫もどちらも飼うことは無いだろうと最近は思っている。

 ところでジャズの世界では、一般とは違い(?)圧倒的に猫派が優勢である。誰にも媚びない不遜にして優雅な猫の生き方、これがジャズメン達の気質にぴったりと言うことで、ジャズメンを愛称としてキャッツと呼ぶことが多い。ジャズのアルバムにも、オルガンの名手ジミー・スミスに『ザ・キャッツ』と言う名盤があったし、ジャケットにはアンドレ・プレビンなどウエストコーストの洒脱アルバムでは、猫の写真やイラストを扱ったものも数多い。一方犬の方は、ただ主人に忠誠を誓いしっぽを振る所謂体制順応動物として、自由を愛するジャズメン達は、その存在が余り気に入らないようである。実際の所アルバムジャケットなどでも、犬が主役を務めるものは余り見たこと無しなのである。

 かつてノーマン・メイラーと言うアメリカを代表する大作家(裸者と死者などの作品あり)、ジャズメンやファンに大きな影響を与えた人だが、彼の分析では人は「ヒップ(自由に誇りをもって生きる人)」と「スクエアー(因習にとらわれた常識人)」の2種類に分けられ、ジャズに関係する連中はヒップな生き方を実践せよ...と言ったことを、その著作の中で記していたが、これも猫派vs犬派に通じるものがあり、猫は「ヒップ」な存在で犬は「スクエアー」だとも言えそうだ。
 まあそれにしてもあの連日のピーちゃんとの1時間近いお散歩。これは今考えるとぼく自身の健康維持にも、非常に大切なものだったが、もうそれも叶わくなってしまった。至極残念なことである。

【今週の番組ゲスト:ベーシストの落合康介さん】
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