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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.404~ジャズ入門のお勧め作品】

 4月になった。我が町国立でも一橋大学の新入生の初々しい姿を見かけるようになり、仲々の活気を見せておりそれに桜の見ごろも加わり何かと華やいだ賑わい尽くしと言った感もある。まあこれは全国どこも一緒だろうが、我がジャズ番組でもこの4月の第1週はここ10数年、ミュージシャンやライターなどジャズ関係者を招き、その人のお勧めジャズ入門アルバムを紹介、ジャズの愉しさ奥深さなどを語ってもらうことになっている。今年のゲストはぼくも執筆陣の一員に加わっているジャズ専門誌「ジャズ・ジャパン」の敏腕編集員、佐藤俊太郎氏。彼の新人お勧めのテーマは「パリとジャズ」。パリで吹き込まれたアルバムやパリのホールやライブハウスなどでのライブアルバムが4枚程。取り上げた楽曲は別項に載っているのでそれを参考にして欲しいが、これ以外にもアート・ブレーキ―&JMの『クラブ・サンジェルマン・ライブ』や名匠ズート・シムズのパリ録音盤『イン・パリ』なども用意してくれたが時間の関係でカット、いささか残念でもあった。

 ぼくはパリと言う街にいまだ訪れたことが無い。これはご愛嬌でもあるが、このパリはジャズにとって本場NYに次ぐ大事な街だけに、「パリとジャズ」という切り口も新鮮で面白いものでもある。パリと言えば一つには洒脱な芸術の街と言ったイメージも強い。有名ミュージシャンやシンガーも、欧州ツアーと言えばまずこのパリのホールやライブハウスでの公演を優先させたし、パリのファンも彼らを温かく迎え入れた。まあこうした背景もあり、この街にはモダンジャズ全盛時の1950年代~60年代にかけ、多くの黒人ジャズメン達が自国での人種差別やジャズ軽視の風潮に抗して渡って来て活動拠点にしていた。彼らのことをジャズイミグレト(ジャズ難民)などと呼ぶこともあったが、それだけに大変に居心地の良い街でもあり多くのジャズ名盤も生まれている。
 ぼくがパリと言えばやはりまずは名門モダンジャズカルテット(MJQ)のことが思い出される。クラシック趣味も濃厚なリーダーのジャズ・ルイスは「コンコルド」「ヴァンドーム」などこの街をテーマに数々の美しいナンバーを書き上げ、ジャズファンのみならず多くのクラシックファンからも大絶賛であった。そしてもう一つ、ヌーベル・バーグとも呼ばれた50年代のフランス映画のバックは、有名ミュージシャンによるジャズ演奏が中心。今はまたこの街パリは、ジャズ+ワールドミュージックのメイン都市であり、これからのジャズを志向する新たな取り組みもパリから出現しており目が離せない。


 さて毎回人にばかり頼んでいて「お前の入門アルバムは...」と聞かれるといささか困ってしまう。ただその答えは数年前に出された我が僚友で本邦随一のベーシストチンさんこと鈴木良雄の「人生が変わるジャズ名盤入門(竹書房)」。ここで挙げさせてもらったものがぼくのお勧めアルバムと言うことになる。ここでは20枚挙げたのだが、そのうちから5枚をピック・アップすると、マイルス・デイビスの『カインド・オブ・ブルー』、キース・ジャレットのスタンダード集、ジョン・コルトレーンの『マイ・フェイバリット・シングス』ビル・エバンスの『エクスプロレーションズ』ソニー・ロリンズの『ビレッジ・バンガード・ライブ』と我ながら面白味の無い無難な選択。こんなことではいかんのだが、ぼくの最も好きなナンバーを上げるとアート・ブレーキ―&JMの「ナイト・イン・チュニジア」。ジャズとラテンの理想的な融合がここにはある。またボーカルはカーリン・クローグの『ミッシェル・ルグランを歌う』、21世紀に入ってからのお勧めはマリア・シュナイダー・オーケストラのアルバムやドラマー、マーク・ジュリアナのジャズ・カルテット・アルバムなどといった所だろうか...。まあ人にはお勧めアルバムを...などと気安く頼む割りには、自分で選ぶのは中々に難しい作業と痛感した次第でこれも反省材料の一つだ。
 そして反省と言えばもう一つ、先週のこのコラムで「桜の木の下にて」について記したが、この作者を坂口安吾としたのだが実際は詩人の梶井基次郎でした。知り合いから指摘されぼくの誤解に気付かされました。皆様にお詫びをし訂正し、またまた反省もしています

【今週の番組ゲスト:新年度最初は、ジャズ入門。今年のジャズ業界の先輩はJaZZ JAPAN 編集の佐藤俊太郎さん】

M1Re: Person I Knew / Bill Evans

M2Dear Old Stockholm / Bud Powell」
M3I Love Being Here With You / Diana Krall
M4The Wind / Keith Jarrett
M5Moanin' with Hazel / Art Blakey

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