【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.777~サユリスト~】
今はもう死語に近い言葉になってしまったのだろうが、かつてぼくの若かりし頃「サユリスト」と言う言葉があり、かなり持て囃されていサユリスト半世紀ほど前になるが、その当時はかなりな数の若い連中が、このサユリストを自認しでおり、当時の所謂文化人の中にも、サユリストはかなりいた筈だった。その代表格がノーベル賞作家の川端康成で、彼はサユリストの代表格であるとも言われる。このサユリスト、現在でもそれなりに幅を利かせており、その代表格が我が早稲田大ジャズ研の後輩~タモリこと森田一義くんだし、関西のお笑いを代表する笑福亭鶴瓶師もその一人である。彼らはことこのサユリスト談義では、それぞれが第一人者として認識しており、この問題になると途端に険悪な仲になる等とも言われる。それほどに未だ根強い人気を誇るサユリストという言葉。もうご存じの方も多いと思うが、女優=吉永小百合の大ファンと言った意味合いなのだが、その日本を代表する俳優の吉永小百合が、この3月で遂に傘寿になったのだと聞く。傘寿などと記しているが、ぼくもこの言葉つい最近知ったもので、齢80を指す。そうか小百合さんもとうとう80才か...などと、しばし感慨深い想いに浸ったものだが、考えてみればこれは至極当然のこと。なんと言っても彼女、ぼくとタメ(同学年)なのですから...。
彼女は確か小学生の頃からラジオスターで、当時の人気漫画をラジオドラマ化して一斉を風靡した、赤胴鈴之助のヒロイン役として、子役時代から既に全国区人気を誇っていた。ぼくの小学生時代の親友のMくん。彼は文武両道の達人で、中学に入ると代々木の方に引っ越してしまったが、テニスの大会等があると時々出会うことがあり(ぼくも軟式テニス部でした)、彼は東京都のベスト10位に入る程の腕前。その彼が「うちの中学校にあの小百合が居てよう...、結構ぼくに興味持っている様なんだ...」などと、自慢もされたものだった。「剣を取ったら日本一の...」赤胴鈴之助なるテーマ曲でお馴染みの、あのドラマのヒロインが...Mに興味を...などと聞くと、羨ましいやら悔しいやらだったのだが...。
それから程なく日活映画と契約した彼女は、「愛と死を見つめて」「伊豆の踊り子」など数々の青春映画のヒロインとしてヒットを連発、男性優位の日活アクション作品の中では例外的に、純粋無垢な聖少女としての銀幕スターの道をひた走った。一方地頭も良く、知的好奇心も旺盛な彼女(高校は都立女子校の名門駒場高校に進む)は、大学進学も目指し見事に早稲田大学第2文学部にワンクッションおいて入学。一浪したぼくと同時に早稲田大に入った次第。森田くんは大学図書館で時々彼女を見掛け、彼女の前の席に座ったこともあった...などと自慢しているのだが、ぼくはたった一度だけそうした幸運に恵まれた。と言っても図書館の大机の端と端ではあったのだが...。
吉永小百合という女優、NHKドラマとして評判の高かった「夢千代日記」など幾つかを除いて、残念ながらぼくは俳優としてはそう評価はしていない(清潔感に富みながらも生活感に乏しい女優さんで、生身の女を感じさせない処がその弱点でもあると思える...)。だが映画界を生き抜いた一人の女性としては、実に真面目で真摯、ストイックな迄の生き方を貫き続ける、ある意味稀有な女性として敬愛している。まさに戦後民主主義の申し子・良心とも呼べそうな存在の彼女は、毎年8月には原爆被災者追悼の朗読会なども続け、女優にしては珍しくきっぱりと自身の主張を行い、反戦の意思表示なども明確に行っている。立派な人なのです。その彼女も傘寿。ぼくはサユリストとは言えないが、彼女の生き方には深く共鳴するところ多々です。何時までも清く美しく生き続け、そして輝き続けて欲しいものです。今は絶滅危惧種とも言えそうな、戦後民主主義の輝ける星として、また永遠の大女優としても...。
【今週の番組ゲスト:キングレコードの渡邉曜介さん】
M1「 Tombo in 7/4 / Airto」(『FINGERS』より)
M2「Killing Me Softly With His Song / Eric Gale 」( 『Forecast』より)
M3「What A Diff'rence A Day Makes / Esther Phillips」(『What A Diff'rence A Day Makes』より)
M4「Concierto / Jim Hall 」(『Concierto〜アランフェス協奏曲』より )







