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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.197~ジャズ入門~】

 4月はなんと言っても始まりの月。新入生、新入社員等々、何かと「新」が話題になる月で、ちまたにはそれらしい新人であふれかえる。ぼくの住む国立の街には、天下に冠たる一橋大学があり、この時期駅前などはその新入生達が群れ集い、喧しいことこの上ない。まあ国立大である一橋などはそう学生数も多くないからまだいいが、これが我が母校早大等私立のマンモス校、あるいは流通王手の企業などの入学&入社式会場近くの駅は、大変な混雑だろうと想像される。

 「新」の賑わい、まあこれも一種の風物詩なのだが、我が「テイスト・オブ・ジャズ」でも、ここ10年余りは4月第1週の放送は、色々な方たちに「ジャズ入門」と題して、ジャズを初めて聴く人たちの為のアドバイス企画にしている。ミュージシャン、評論家、音楽プロデューサー、文化人等々、これまでも様々な人たちが登場し、そのジャズ観を語ってくれたが、今年はジャズ雑誌の編集長をと言う事で、ジャズ専門誌「ジャズ・ライフ」の社主兼編集長の内藤遊人氏に登場してもらうことにした。
 もう35年以上の歴史を誇るこのジャズ誌は、実際にプレーをしている人や、これからジャズを習ってみたいと言う人向けの雑誌。内藤氏は創刊からかかわってきて今はオーナーと言う立場にある訳で、よく頑張って続けて来たと頭が下がる思い。彼は早大ジャズ研の3年下の後輩で、理工学部で土木工学を専攻したと言う異色の経歴だが、卒業後は音楽関係の仕事に就き、雑誌に関係して35年以上。番組の中でも「良く続けて来れたが、そろそろ店仕舞いか...」等といささか気弱なことも呟いていたが、考えてみれば彼もいい年令で、そろそろ...と言う心情も判らないでもない。しかしそこはもうひと頑張りして欲しいもの。

 まあそんな彼がジャズ入門アルバムとして紹介してくれたのは、彼の学生時代のお得意楽器~サックスの巨人達4人の代表作4枚。彼をジャズの道に誘ったソニー・ロリンズ、大学生時代(当時の大学生随一の実力者であった)に強く惹かれたジョン・コルトレーン、今なお現役で活躍するウェイン・ショーター、そして彼よりも1才若いが、数年前に惜しくも亡くなってしまったマイケル・ブレッカー。何れもジャズ・サックスの歴史を築いてきたレジェンド達。その敬愛する彼らを語る内藤氏の口振りも、熱くそして愉しげでもあった。

 「ジャズは決して難しい音楽では無い。好きに愉しめばいいんだ」と言う内藤遊人の作る雑誌は、ジャズをプレーする愉しさをまずファンに伝えたいという気持ちが、誌面の隅々から感じ取れ気持ち良い。なにせ名前の遊人からして、その洒脱な愉しみ精神が良く表れたもので、本名は確か多喜夫のはず。ハードボイルド映画の主役の様に渋く格好良い好漢、内藤遊人君よ。いつまでも元気で、日本のジャズ文化の灯をともし続けて欲しい。

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