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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.624~野田知祐死す~】

 日本のカヌーイストの草分けにして第一人者、野田知祐が亡くなったと聞く。一時ぼくの愛読誌だったアウトドア誌、「ビーパル」最初の号からカヌー紀行を連載、それをまとめた単行本「日本の川を下る」は、確かノンフィクション賞も獲得した筈で、実に愉しく示唆に富むアウトドア本だったし、何よりその自由闊達な生き方に強く惹かれたものだった。彼は早稲田大の漕艇部出身の本格派らしいが、ぼくはカヌーなどはやったことも無い門外漢。だが強烈にカヌーで旅したい...等と思わせる魅力に富んだもので、ぼくも物書きのはしくれとして、そんな感慨を人に与えたい...ものだとも思わせてくれた。それだけにその他の彼が書いたカヌーエッセイも、結構読んだものだった。

 野田と言えばかなり昔のことになるが、山と渓谷社のスポンサード番組で、中高年向けのアウトドア番組を担当していたことがあって、その番組に是非彼をゲストに呼びたいと思って交渉したことがあった。だが世界中の川下りを実践している彼を捕まえることは至難の業、仕方なく諦めたものだが是非会って話を聞いてみたい人だった。それも遂に叶わず残念至極。もう一つ野田に関しては、その御供の犬と言うか、川下り仲間としてのカヌー犬=ガクの存在が余りにも有名だろう。ガクは野田と一緒に日本中の清流を下り、アラスカ、カナダ、メキシコ等々世界中の有名な川も下った、カヌー犬と言うまさに世界でも珍しい愛称を持った日本犬(?)だった。ガクが死んだのはもう30年以上前のことだが、野田にとっては大ショックだった筈で、犬齢は14才ぐらいだったと思う。

 そう言えばジャズの世界でも、壮大な川下りジャズアルバムがある。ポール・ウインターと言うグラミー賞も受賞しているサックス吹き、彼は自然との融合をテーマに数多くの好アルバムを作っているが、その一つであの世界最大の渓谷グランドキャニオンを、数日間掛けて実際に筏で漕ぎ下りながら、その停泊地で渓谷の音や野生動物や鳥の声などをバックに、サックスを吹いた壮大なジャズ組曲「グランド・キャニオン組曲」を発表している。まあこんなジャズ冒険をしたのは彼位なもので、凄い企画だと言えるし発表当時はかなり評判になった(グラミー賞も獲得か...)ものだったが、ジャズ史にも残る貴重なものかもしれない。まあ野田とガクの川下りは終始のんびりとした自由気ままなもので、このグランドキャニオン下りとは大違いだが、いずれにせよ野田氏&ガクの魂に 合掌!

 そしてもう一つショックなニュースが...。あの「ダイハード」などのアクション映画で人気の高かったブルース・ウイルスが、なんと失語症の為俳優稼業を引退すると言うではないか。失語症とは詳しくは分からないが認知症の一種で、俳優としてはまずセリフが覚えられなく成ってしまうものである。自身も辛い決断だったと思うが、あのハードアクション全開の役者が、呂律が回らなくなってしまうとは...。寂しいことであり時代の推移を強く感じもしたものだった。それにしても1月を超えるウクライナ侵略&危機。少しでも早く解決の糸口でも...と願うが、それもやはり空しいことなのか...。世界はどうなってしまうのだろうか...。

【今週の番組ゲスト:ユニバーサルミュージックの斉藤嘉久さん】

5月14日・15日に開催される『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2022』をご紹介頂きました

M1「Migratory Bird / WONK」
M2「Vox Humana (Ovall Remix)/ Ovall」
M3「Zasu / aTak」
M4「Why We Speak feat. Q-Tip & Esperanza Spalding / Robert Glasper」
M5「涙の万華鏡 / 吉田美和」

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