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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.406~ホープ・ガール参上】

 「ホープ・ガール」と言う愛称を、あのサックスの名匠ルー・タバキン(ピアノの重鎮、穐吉(あきよし)敏子の旦那さん)から贈られたシンガーがいる。岩手の盛岡市在住で、ジャズシンガーと知的障害者施設の職員と言う2足の草鞋をこなしている努力家、金本麻里である。盛岡市が拠点の彼女、今年がデビュー10周年ということで、3枚目のアルバムをその記念作品として今回発表したが、そのアルバムを携えわざわざ盛岡から我が「テイスト・オブ・ジャズ」出演の為だけに上京、スタジオに遊びに来てくれた。「感謝・感謝」の一言である。

 
彼女と一緒にスタジオにやって来たのは、このアルバムの発売元「ジョニーズ・ディスク」にして、東北地域のジャズ界のボス的存在、盛岡のジャズ喫茶「開運橋のジョニー」のマスターでもある、ジョニーさんこと照井顕。元々はあの大震災で壊滅的被害のあった陸前高田市でジャズ喫茶「ジョニー」をやっていたのだが、そこから移転して盛岡市に移ったジョニーさん。彼女がその店に遊びに来てその才を評価され、ジャズシンガーになるように勧められ、連日店に通いつめてジャズ歌手としてのスキルを独学で磨き、シンガーとして独り立ちするようになった。そんな彼女の実力は口コミでも首都圏のジャズ関係者の間で評判になり、横浜のジャズに大きな貢献を果たしたジャズ喫茶の名店「ちぐさ」を顕彰し数年前に制定されたジャズ賞「ちぐさ賞」。その栄えある初回受賞者にも選出され、ジャズ歌手としての地歩を築くことになった。しかし彼女はジャズシンガーだけでなく、盛岡での障害者施設職員と言う仕事も続け、その両立を継続させ2足のわらじを実現させている。その心根は見事としか言いようない。
 
タバキンが「ホープ・ガール」と彼女を呼んだと言うのは、秋吉敏子の名作ジャズ組曲「ヒロシマ」の最終章「ホープ」(秋吉&娘のマンディー満ちるとの共詞)を、岩手に演奏旅行で来た秋吉夫婦の前で披露、その余りの素晴らしさに「君は正にホープ・ガールだ」とタバキンから絶賛されたことによるもの。その愛称は彼女のデビューアルバムのタイトルにもなり、デビュー作にも当然収録されており、今回の記念作でも再収録、番組の中でも紹介している。この彼女の代表曲「ホープ」は、またあの東北大震災の被災者の避難住宅や合同葬儀などの場でも彼女自身が披露、被害に遭われた方達にも大きな感動と勇気を与えたとも聞く。
 彼女のボーカルはその立派な体躯を写しとった様に、実に堂々として気風も良くソウルフル、聴くものを温かく雄々しく包み込んでくれる。大器と言った表現がぴったりなシンガーで、名刺代わりにアルバムを作るこの所の新人ジャズボーカリストとは、その心構えや覚悟からして異なり、歌を通して伝えたいものも多くあり、それがダイレクトに伝わって来るのだ。ジョニーさんもそこら辺に惚れ込み応援を続けて来たのだろうが,こういうシンガーが地方に居続け、そこに根を張り活動を続けると言うのは大変に嬉しいこと。その心意気見習わなければならない。
 
 
わざわざ盛岡から出て来てくれたにも拘らず実に謙虚な人柄で、番組に出られて大感激ですとその喜びを率直に語ってくれたが、こちらの方が恐縮してしまう。東北のソウルフルシンガー何時までも頑張って歌い続けてください。応援しています。
【今週の番組ゲスト:岩手在住のジャズボーカリスト 金本麻里さん】
「金本麻里 With The Bop Band」から
M1 CARAVAN
M2SENTIMENTAL JOURNEY
M3 HOPE
M4HOW HIGH THE MOON



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