「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.772~ボーカルライブデビュー~】
神保町の路地裏にあるビルの4階「アデュロン・ダック」と言う小ぢんまりとしながらも、実に心地よいジャズカフェ(&バー)がある。マスターの滝沢さんは長年NYに在住しレコードディーラーとして活躍、中古レコードの買付で全米を駆け巡っていたという強者。帰国後は一時レコード屋をやっていたが、程なくこの「アデュロン・ダック」を立ち上げ既に20年以上。店名は御夫婦が好きだというNY郊外にある自然豊かな公園の名前。ぼくは立ち上げ直後からこの店に通っているが、滝沢ご夫妻のことは大学のジャズ研の1年後輩、NY在住の公認会計士でもある星野くんから大分前に聞いていた。星野&滝沢は一時NYで同じアパートに住んでおり、日夜レコード談義を交わした仲でもあったのだが、その星野くんから滝沢さんが今度神保町でジャズカフェを始めるから、是非行ってみて欲しい...と要望され訪れてみると、実に心地良いカフェで、その上滝沢夫妻のホスピタリティーにも惹かれ、直ぐに常連の一人になってしまったと言う次第。
開店から数年して店では週2日ほどライブをやることになり、滝沢さんから相談を受け川嶋哲郎や平賀マリカ等、知り合いのミュージシャンやシンガーなども紹介した。中でもこの店をご贔屓にしているのが、心療内科医にして女子大教授、エッセイスト、そしてジャズシンガーでもある、ぼくとは長い付き合いの海原純子女史。彼女にこの店のことを紹介し初めてライブをやって以来、彼女も大のお気に入りになってしまい、今では2&3ヶ月に1回はここでライブをしている。
と言った感じのこの「アデュロン・ダック」、ぼくも結構色々なジャズ関係者を紹介して来たのだが、ある時ラジオNIKKEIの証券関連番組のパーソナリティーとして活躍している、浜田節子さんを伴って店を訪れた。その折彼女がジャズ好きで時々ジャズも歌っている...のだという話になり、「じゃあ一度ここで歌ってみたら...」と半分冗談で水を向けると、満更でもない様子。そこで寺井尚子のバンドの音楽監督兼ピアニストの北島直樹氏にバックを付けてもらったら...ということで、北島氏にTELで頼むとOKの返事。北島氏は大御所のマーサ三宅を始め阿川泰子など、J-ボーカルの大物達のバックも務めて来た歌伴の名手。彼女もこんな凄い人に...ということで大喜び、ライブ話はトントンと進み、2月の半ばの日曜日の昼間のライブ公演が決定した。以降彼女は北島氏の自宅で一緒に音合わせのレッスンに励み、当日を迎える。
ライブ会場の「アデュロン・ダック」は、20数名入れば満席になってしまう小ぢんまりとしたお店。それだけに彼女の知り合いや番組関係者(見知った顔もちらほら...)で当日は超満員。驚いたのはジャズボーカルにはうるさい評論家の寺島靖国師も席に座っていたこと。どこかで知り合いになったのだろうが、寺島師がこのライブに...、一寸した驚きだった。彼女は北島氏のピアノをバックに、1部2部の構成で、スタンダードをメインに「蘇州夜曲」などと言った異色のレパートリーも交え、10曲前後を唄い熟しヤンヤの喝采。歌伴の巨匠をバックにしてのジャズ歌唱、それだけに最初はいささか緊張気味でちょっと声が出ていない感もあったが、途中からはエンジンも全開、かなり快調に唄い綴って行き、曲の途中に挟む北島氏との当意即妙の掛け合いも面白い。ラスト曲は阿川泰子の十八番で、日本のみならず世界中で大ヒットし、「やすこ」の名前を世界的なものにしたヒット曲「スキン・ドゥ・ドゥレ」。このクロージングナンバーを貫禄充分に唄い綴り、ライブは盛況裏に幕を閉じた。この曲は前述の通り阿川泰子の大ヒット曲だが、その時のピアノとアレンジは北島直樹氏。それだけに北島氏をバックにこの曲を歌えたのは感激だった様で、その熱唱(スキャットも見事)は仲々のものだった。
日曜日の午後の一時、全部で2時間弱ほどのライブだったが、彼女のライブで歌える喜び、またジャズする喜びが、ストレートに伝わる仲々の好ライブでした。まだまだ精進して、これからもボーカルライブ活動続けてくださいね。浜田節子さん!
【今週の番組ゲスト:サックスプレイヤー 中根 佑紀さん】
M1「Tokyo-Impressions」(『白船出航』より)
M2「Joeh」(『NEW-COMER A Letter to Someone』より)
M3「ええじゃないか〜Moanin」(『白船出航』より)
M4「Doxy」(pre-release作品より)





