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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.618~春なのに~】

  ようやく春らしくなって来たが、例年のようにはこの季節を愉しめそうもない。なにせウクライナの地では、今も戦火が続いておりその終わりも見通せない。一歩間違えば核戦争から世界破滅すらあるかも...、と言った緊迫する事態が続いており、暖かくなっても心は冷え冷えと言った心配事の連続。

 そんな中ジャズ界では、ベースの大ベテラン、オマスズさんこと鈴木勲氏が亡くなってしまった。80代後半だった。サダオさん(渡辺貞夫)のバンドなどで活躍した後、武者修行で単身渡米、当時のトップコンボであるアート・ブレーキ―&ジャズ・メッセンジャーズ(JM)に参加、国際的にも一躍名前を挙げ帰国、以降は自身のバンドや各セッションなどで活動する等、かなり活発な活動を続けていた。ものすごくジャズ的な...と言うか、ある意味破天荒でファンキーな人柄で、つい最近の写真でも、およそその年令に似つかわしくない派手な原色の格好で、ピースサインなどをしていた。またニックネームにも、色々あまり好ましくない様な意味合いもあるようでだが、色々面白いユニークなジャズメンだったことは間違いない。各新聞の死亡欄に、かなりなスペースでその死亡ニュースが載せるほどに、やはりJ-ジャズ史でもかなりな大物だったことは、皆が認めていたところだろう。

 我がジャズ番組には、この20年ほど余り新譜が出ていなかった関係もあり、顔を出していなかったが、昔はそれなりにちょくちょく遊びに来てくれていた。スケベ心一杯の昔のジャズメン気質溢れた人で、当時相手した女性アナなどを、からかったり飲みに誘ったりもしていたが、それが決して嫌味でない所がオマスズさんらしい所。相手が乗り気でないとさっと身を引く、結構なダンディさもあった。でもあれも今ならばセクハラとしてアウトになってしまうのかも知れない。難しい所である。
 オマスズさんは60才台以降もジャズ賞を獲得するほど良いアルバムを残しており、本場で鍛えられたそのテクニックは素晴らしいものだった。またその磊落な人柄もあって、若いミュージシャン達にも結構慕われており、晩年まで多くの若い人達ともセッションをやっていた。合掌!

 まあ「春よ春」、何かとパッと行きたいものだが、世界の緊迫した状況が、春なのにそうはさせてくれない。大変に寂しいことである。こうなればぼくの好きな春ソング、フランスを代表する映画音楽作曲家にしてジャズピアニスト、ミッシェル・ルグランの銘曲「ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング」でも聴きながら、この何か落ち着かない今年の春を精一杯愉しむことにしましょうか...。この曲は今年4月のジャズ入門講座の第1回目に、ジャズライターの富沢えいち氏がいろいろなバリエーションで、この曲のジャズバージョンを紹介しジャズの愉しみ方を教えてくれるはず。皆様もそちらも是非聴いてみて下さいね。

【今週の番組ゲスト:サックスプレイヤーの岡崎正典さん ピアニストの片倉真由子さん】
岡崎さんの初のリーダーアルバム『The Neighbors』より
M1「Carolina Shout short 」
M2「Mary's Sliding Doors」
M3「Le Tombeau De Couperin I.Prelude」
M4「Riverside Nobody」
M5「Look To The Rainbow」


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