「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.774~守屋純子~】
我が母校早稲田大学には、大学公認の音楽サークルが幾つか有り(非公認入れたらもう数知れずだろうが...)、これらの音楽サークルは、昔は音楽長屋と呼ばれる小汚い練習場に集まっていたが、今はかなり小綺麗な場所に移っている様である。そうした音楽サークルの一つが、ぼくが所属していた早稲田モダンジャズ研究会、通称ダンモ研。そしてもう一つジャズに関係するサークルとして、早稲田ハイソサエティーオーケストラ、通称ハイソが有り、こちらは所謂フルバンド。このハイソは第2次世界大戦終了直後辺りから活動を展開、我がジャズ研よりもかなり長い歴史を誇っている。それだけに多くのジャズプレーヤーなども排出している訳だが、そのOB・OGの中で最も目立った活動を展開している一人が、ピアニスト&アレンジャー、そして音楽大学講師などの肩書を持つ守屋純子さん。
ハイソのピアニストとして名を成した彼女は、その後アメリカにわたり研鑽を重ね帰国。05年には栄誉あるセロニアス・モンク賞の作曲部門で、アジア人として初優勝に輝く。以降も様々に意欲的活動を展開し続けている彼女だが、何より素晴らしいのは名だたる有名プレーヤー達を集めた自身の守屋純子オーケストラを率いて、25年間に渡たり定期的にコンサートを続けていること。その守屋純子オーケストラの定期コンサートが2月末に開かれ、招待を受け渋谷のさくらホールに聴きに行った。
今年はそのオーケストラの25周年。大編成のジャズオーケストラを女性として半世紀の間も維持続ける、その確固とした信念がまず素晴らしいの一言だが、この数年招待を受けながらも、何時もなにかの野暮用で行けなかった。その反省を踏まえ今年こそはと意気込んで会場に向かう。それにしても今の渋谷の街、都会の田舎者でチャンジー(爺さん)のぼくなどには、仲々に荷が重い。昔と街がまるで違っており迂闊に歩けない。渋谷駅に着き駅の案内板などを見て、渋谷文化総合センターにようやくたどり着き、ホッとして4階のさくらホールに向かう。かなり広い会場だがほぼ満杯、さすが守屋純子。ハイソはOBの数も多いので、それだけでかなりチケットも捌けるのだろうが、まあよく入っている。プログラムを見ると25周年記念コンサートの今年は、彼女のオリジナルと共にモダンジャズの名作曲家の一人、ベニー・ゴルソンと映画音楽の大家、ヘンリー・マンシーニに捧げられており、彼らの曲も何曲か...と言う嬉しい構成。以前よく彼女のコンサートに顔を出していた頃は、地方自治体などの委嘱を受けた組曲風大作がメインだったこともしばしば。長谷川等伯画伯の組曲とか信長をメインにしたジャズ組曲など、その意欲は分かるのだが今ひとつ...と言った感もしばしばだっただけに、今回のような気楽に聴けるレパートリーはこちらとしても嬉しい。
コンサートは彼女のピアノをメインにしたマンシーニの銘品「ムーン・リバー」でスタート、続いて彼女のオリジナル「ア・ニュー・ステップ」でオーケストラは快調に滑り出す。近藤和彦、岡崎正典、アンディー・ウルフ等など、気鋭のプレーヤーを集めたオーケストラは音の粒立ちが素晴らしいし、リーダー守谷のピアノも数年耳にしないうちにより上達した感もあり、充分に聴かせる。「アロング・ケイム・ベティー」などのゴルソン・ナンバーのアレンジ・演奏も聴き応えたっぷり。中でもクリフォード・ブラウンに捧げた不及の名作「アイ・リメンバー・クリフォード」が、フューチャされた新加入(?)のジョー・モットラーの素晴らしいトランペットソロもあって絶品だった。15分の休憩を挟み1部2部全10曲、どれも収穫も多いコンサートだった。
ラストは恒例のアンコール、彼女一人だけが徐ろにピアノに向かい合う。ソロ演奏かと思いきやなんと弾き語りを披露、ヤンヤの喝采だった。取り上げたのはぼくが最も愛する、マンシーニの隠れた名曲「トゥー・フォー・ザ・ロード」。オードリー・ヘップバーンと・ジャック・フィニー共演の南仏を旅するロードムービーだが、映画は極めて凡作。但しテーマ曲は最高。彼女のボーカルも決して上手くはないが味わい抜群で、結構染みる出来栄え。このアンコールでぼくの気分もより高揚、充分に愉しませてもらいました。来月には久々に新譜を録音するという。6月発売予定とのことなので、その頃には是非番組に出演を...と頼み込んでおいた。久々の番組登場、よろしくお願いしますね、純子さん!
【今週の番組ゲスト:アフロキューバントランペッター ルイス バジェさん】
新譜『Afro Cafe』と『FRENETICO』から
M1「Moliendo Café」
M2「Summer time」
M3「Vereda Akasaka」
M4「Camellia」





