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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜23:00~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.453~ジャズ講座】

 昨年に引き続き今年もまた中野区の公民館から頼まれ、ジャズ講座を3回ほど行った。サブタイトルは昨年と同じく「知らなかったジャズ」。ぼく自身はジャズ講座などと言った大袈裟なものでは無くジャズトークと言った軽い感じを考えていたのだが、昨年はサブタイトルに「知らなかった」等と謳われている所為で「戦前にもジャズがあった」「中央線ジャズとは...」等、いささかマニアックだったのでは...と担当氏から注文が付き、今回は徹底して入門者向けとして、隔週の火曜日午後の2時間ほど3回に渡って実施した。

 
相手は50才以上の結構熱心なオジン&オバンがメインで、およそ40名程だったが、殆どはジャズなど全く知らない方達。そうなると入門講座は仲々に難しい。と言うことで1回目の「ジャズって愉しく・面白い音楽」では、ゲストに四谷のジャズ喫茶「イーグル」のマスター、後藤雅洋氏を迎えることにした。彼の所はもう半世紀近く続くジャズ名門店で、彼が慶応大の学生だった時に始めたもの。まあどうして彼を招いたのかと言うと、彼には2冊ほどジャズ入門を謳ったジャズ本があり、またカルチャースクールでも教えており、何より今や売れ行き絶好調なジャズムックシリーズ(小学館)の監修者・選曲者でもあること。彼と一緒にジャズの愉しさ、ジャズ喫茶の利用法など、ムック本収録曲中心にジャズ入門について語り合った。
 紹介したのはマイルス、上原ひろみ、ソニー・ロリンズなどの代表的演奏や美空ひばりのジャズ歌唱等々。中で一番受けたのはやはりひばりのジャズで、ムック本でも中高年層に大反響だったと言う。紹介する曲は2人ほぼ一致したのだが、彼の店で行った打合せの場で唯一意見が分かれたのが、帝王マイルス・デイビスの扱い。ぼくは世界中で最も売れ彼を代表するアルバムとして、当然名盤『カインド・オブ・ブルー』を推し、曲は「ソー・ワット」だと主張したが、彼は断固反対。あのアルバムでかえって入門者はジャズから離れてしまう。同じ「ソー・ワット」ならばここは『フォー&モア』(これも極め付きの名盤だが...)に収められた急速調演奏を選ぶべき...と言う。結局はゲストの意見を取り入れ『フォー&モア』を採用したのだが、これは今もって些か納得いかない所でもある。


 2回目は「ジャズ・ミーツ・クラシック」と言うことで、このコラムにも登場したこともあるジャズピアニストにしてパイプオルガン奏者の岩崎(小野田)良子さん。会場にはエレピも用意されていたので、彼女はエレピを弾きながら、ジャズとクラシックの融合、パイプオルガン演奏の難しさ、スペイン音楽~特にロマ(ジプシー)音楽の魅力などについて話してくれた。彼女がパイプオルガンを始めた切っ掛けは、2人目の子供を産むために聖路加病院に入院した30代半ばのこと。そこで新しいパイプオルガン導入の話を聞き、一念発起してこの楽器をマスター、子供を置いてのヨーロッパ留学など、その苦労談は聴衆のオバン連中には大いに感銘を与えた様で、講座終了後彼女の行うジャズライブに向かった人もかなりいたようだった。

 
3回目は「ぼくのMPB」と言うことで、ぼくの音楽原点とも言えるマイルス=M、タンゴ界の鬼才アストロ・ピアソラ=P、そして楽聖バッハ=B。この3人とジャズと言うテーマで一人語りする予定だった(このMPBとはブラジルのポップ・ミュージック、ムジカ・ポピュレイラ・ブラジレイラの略語)。しかし1回目の講座でマイルスの曲を紹介どれほど知っているか聞いてみたら、なんと僅か2名だけ。これにはがっかりでどうしようかと思っていた所、後藤氏とジャズはやはりライブだと言う話で纏まり、ジャズのライブスポットの愉しみ方の方が...と思い直した。
 そこで我らが新宿「J」の名物マスターバードマン幸田こと幸田稔氏に御登場頂くことにした。昨年暮れに新宿「J」40周年で1時間のジャズ特番をオンエアーした関係などもあり、その時の音源やタモリの「J」への応援・激励メッセージなども織り込みながら、40年を振り返りジャズの愉しさなどを語り合った。幸田氏はアルトサックスも持参、半世紀以上前の大学対抗バンド合戦優勝時早稲田ジャズ研の音源(ラジオ東京)なども披露、講座の最後には持参のアルトで「ラウンド・ミッドナイト」を吹き上げてくれた。学生No1だったころには及びもつかないが、現在の年令を感じさせる、枯れていながらもしみじみとした味わい深いソロ演奏で、オジン・オバンの皆様も大感激。バードマン氏もまんざらでない様子だった。やはり持つべきものは良き友なのである。


 まあこれで3回のジャズトークは無事終了。結構面倒くさいのだがいつもはあまり聞き直すことない名盤・名演の数々を、改めて聞き直しみてやはりジャズは素晴らしきもの、良きもの...だという認識を新たにさせてくれた、ぼくにも実のある講座実施でした。


【今週の番組ゲスト:ギタリスト 井上銘さん】
昨年秋に2枚同時リリースした『MONO LIGHT』『Solo Guitar』から
M1Dan feat.Kento NAGATSUKA
M2Desperado
M3Chega De Saudade
M4Nishinoomote-Kou















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