【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.830~ジャズとユダヤ人~】
このところのトランプ米大統領の暴走・迷走が止まらない。自身をキリストに見立てた画像を投稿したり、凱旋門をワシントンに建立等など、余りにも支離滅裂なその行動・言動が、遂に彼の精神鑑定を...などと言った意見さえ米国本国や世界各地で呼び起こすことになっている。日本でも一時彼を盛んに持ち上げていた、右派フリーク達もさすがに最近は、殆んど口を閉ざすようになっているが、彼の暴走で世界情勢も、目に見えて予断を許さないものになりつつある。これに伴い、彼を強力にバックアップするキリスト教福音派や、アメリカのユダヤ系実業家達、そしてユダヤ本家のイスラエルも、自国で急激にその存在がクローズアップされている。
元々日本人にとって、ユダヤ民族などは遠い存在だし捉えがたいものなのだが、「流浪の民」とも呼ばれた彼らは、今やその半数以上がイスラエルに居住、残りの4割近くがアメリカ、そしてそれ以外の各国に...と言う割合とも言われる。それだけにその4割が住むアメリカ本国では、ユダヤ系が政治や経済そして文化面などでも大きな影響力を発揮し、見逃せないものになっている。こと文化面でも映画や音楽など、その大資本系会社の殆んどは、ユダヤ系の人物がトップを占める。それだけにアメリカ映画などでは、ユダヤ人の成功話やその流浪の民としての悲哀など(イスラエルと言う国も含め)、表立ったりひっそりとだったりと...、様々なやり方でユダヤを持ち上げるもので溢れている。それはジャズという音楽でも同様で、黒人の音楽と言われるジャズも、実はその大事な部分にユダヤ系が関与している。ジャズが最もポピュラーな音楽だったスイング時代、メインの有名なスイングバンドリーダーはユダヤ系が多かったし、モダンジャズの時代になっても、スタン・ゲッツ、リー・コニッツなどの有名白人プレーヤー、そしてレコード会社のお偉いさんやプロデューサーなど、ジャズプレーヤー、ジャズビジネスに関わる白人のほとんどが、ユダヤ系と言っても過言ではなかった。即ちジャズは黒人とユダヤ人に寄って成り立っている音楽とも言えるのだ。そしてこうしたアメリカのユダヤ人だけでなく、最近は本国イスラエルのジャズミュージシャンの存在も影響力を持つ存在となりつつある。その代表格がイスラエルの首都テルアビブの音楽学校出身で、ボストンのバークリー音大にも留学、世界中で注目を集めるようになったアビシャイ・コーエン。このアビシャイとテルアビブの音楽サークルと並び、NYの先鋭的なシーンのリーダー格ジャズマンとして知られる、サックス奏者のジョン・ゾーンもコンテンポラリーユダヤジャズの代表格でもある。彼のジャズレーベルはイスラエルの紋章とも言われるダビデの星をあしらった曰く付きなもので、クレズマー(東欧のユダヤ系による民族音楽)の要素もタップリなその音楽は、やはり強烈にユダヤを想起させるもの。
こうした現在のイスラエルジャズメンやゾーンのマサダ一派は、トランプと並ぶ悪役=ネタニエフによる悲惨なガザ殲滅戦などをどう見ているのだろうか...。大いに気になる所でもあるが、何よりも早く世界に安寧と平和を取り戻す行動を、アメリカやイスラエル双方のジャズメン達が起こして欲しいと、今は切に願うところなのです。本当に憂うべき時代になってしまいましたね...。
【今週の番組ゲスト:コアポート代表の高木洋司さん】
M1「Consent (for Stijn) / N∆BOU」(『Indigo』より)
M2「Hope / Aubrey Johnson 」(『The Lively Air』より)
M3「Clouds / Ben Wendel 」(『BaRcoDe』より)
M4「Olha Maria / Ben Wendel 」(『BaRcoDe』より)






