【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.854~台湾百名山一筆書き~】
皆様は田中陽希と言う人物ご存知だろうか...。このコラムを読まれているジャズファンの方達と言えば、どちらかと言うとインドア派が多いと思われるので、初めてその名前を知った...と言う方も多いかも。但し少しは山登りやアウトドアなどに関心のある方には、彼の名前はもう余りにも有名だと言える。NHKのBS放送の「日本百名山一筆書き」や「二百名山全山踏破」などと言った人気山行番組の主役で、一切交通機関などを使わずに、自身の足だけで(時にカヌーなどで海を渡り島の山を登攀する...)飄々とそれらの山々を熟す。ある意味クライマーと言うよりもプロトレッカーと言った趣きのアウトドアの人気者である。確か彼は北海道の出身で明治大のワンゲル部(?)OBの筈だが、カヌーにも精通しアドベンチャトレックにも挑戦する、万能のプロトレッカーなのである。
もう齢には勝てずここ数年は山行にも縁の無いぼくだが(昨年はお山=浅間山の脇の小浅間山と離山に挑戦、へとへとになってしまった軟弱者)、昔取った杵柄か登山番組を見るのは大好きで、特に陽希氏の百名山ものは興味深く見させてもらっている。彼の日本百名山番組には、3名ほどのカメラマンがつ常に同行しており、彼らは陽希氏の前後を走り廻りカメラに収めるために、彼以上に大変な運動量を熟さなければならない。興味深いのはそのメインの一人が、昨年にヒマラヤの世界第2の高峰「K2」の西壁に挑戦して、惜しくも命を落としてしまった、あの名クライマー平出和也だと言うのも、このNHK百名山ビデオを見る楽しみの一つでもあるのだ。陽希氏の前後を軽々と猿のように飛び回りその姿を収める、カメラマン平出の姿が画面に映ると、それだけで拍手を送りたくなるし、涙もろくもなってしまう。
まあそんな想いも詰まった日本百名山番組なのだが、その主役である田中陽希氏が今年の始め頃から、台湾の山にも興味を示し時々登っているらしい...と言う話を耳にした。それが今年の暮れないし来年の始め頃から、本格的に「陽希の台湾百名山一筆書き...」企画となって実施される...と言うニュースが発表され、今ぼくはワクワクしている処なのである。なにせ台湾というほぼ九州ぐらいの大きさの島国に、なんと富士山より高い玉山を始め300を越す高峰が聳え連なっているのだ。台湾は山好きには信じられない程の高山島国なのである。
今から30年ほど前に、台湾政府の協力を得て台湾特番を始めた頃には、山岳地図には玉山周辺ぐらいしか無かった。また山道具屋も台北に3つ位あるだけで、それもかなりこじんまりしたものだった。今や台湾の主要山岳地図も書店では売り出されているらしく、隔世の感ありなのである。あの頃はぼくも山を良く行っており、「山と渓谷」誌のスタッフの面々とも良く一緒に山行したものだったが、当時の山と溪谷の御偉いさん(明大山岳部のOBで植村直己氏の1年後輩だった人)に、台湾の山特集を是非やるべき...と持ち掛けていたのだが、残念ながら時期尚早でその企画は実現しなかった。だが昨年初めの山渓本誌に、台湾山岳図鑑なる別冊が組み込まれており、時代の変化にはびっくりしたものだったが、もう日本の山好きも台湾の高山群に、気楽に挑戦できる時代になったのである。そんな折に田中陽希氏が台湾高山群に挑戦と聞けば、心躍らざるを得ないだろうし、台湾にとっても喜ぶベきニュースと言えるであろう。
【今週の番組ゲスト:ピアニストの西山瞳さん】
デビュー20周年記念アルバム『Layerレイヤー』から



