【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.835~サダオさん健在~】
サダオさんこと渡辺貞夫は、日本が世界に誇るジャズレジェンドである。1933年栃木県の宇都宮市生まれなので、現在93才、そしてその音楽歴は今年で75年になり、記念盤『バット・ビューティフル』も先日出された。いや~93才で未だ現役、こんなサックス吹きは世界でも全く稀有だし、何より素晴らしいのは、ワンフレーズを吹いただけで、サダオさんだと直ぐに分かる、その唯一無二の存在感と艷やかなアルトの音色である。ソニー・ロリンズなど同世代レジェンド達が、ほぼ引退状態の中で、本当に現役バリバリの彼は、日本が誇る...どころでなく、正にワールドワイドな存在そのものなのである。
そんなサダオさんが、久々に渡辺貞夫オーケストラを率いて、有明に新たに誕生した大ホール~SGCホール有明に登場するという。これは何をおいても...ということで、日頃は殆んど無関係のおしゃれ地域、東京湾岸の有明にゆりかもめに乗って向かった。ゆりかもめの駅を降りると全くの田舎者状態、何時もだと向かう方向が分からない筈なのだが、この日に限っては、ボクの様なジャズ・チャンジー(爺さん)やチャンバー(婆さん)が数多くある方向に歩いて行く。これに加われば...と言う思惑通りで、難なく新しいホールSGCホール有明に到着、入場口に群がるジャズ高齢者の数の多さに圧倒されると同時に、サダオさんの衰えぬ人気とその威力にも驚かされる。あの「マイディア・ライフ」や「カリフォルニア・シャワー」などの、サダオ人気全盛時、武道館公演などにも喜んで足を運んだようにも見える、若々しいジャズ・チャンジーやチャンバー達を見ていると、ぼくも頑張らねば...などと気持ちも奮い立つから不思議なもの。
16時といういささか早めのスタート時間も、サダオさん自身の健康問題と、高齢のファン達のことも考え合わせたもので、ベターな選択と言える。定刻に始まったオーケストラ公演は、サダオさんのアルトを全面フューチャしたフルバンド公演で、実質はトロンボーン奏者の村田陽一が、指揮やアレンジを担当しているのだが、リズム隊は竹村一哲(ds)など現在のサダオ・チームの若い面々。取り上げる曲も当然サダオさんのオリジナルで、懐かしのヒットチューン「マイ・ディア・ライフ」なども、フルバンドバージョンで登場すると全く趣きも異なっており、仲々に興味深いもの。サダオさんのアルトも良く音が鳴っており、現在の好調さを窺わせる。同年齢のムレさんことギターの中牟礼貞則さんや少し年下のしぶやんこと渋谷毅さんなどが、体の不調を訴え休養中なのに比べ、全く驚くべ元気さだ。ファンもサダオさんが、無事にアルトを吹いている姿さえ見れれば、もうそれで満足といった感もあり、全体に和気藹々とした心地よい雰囲気で、プログラムは進んでいく。もう全てが「凄いぞサダオさん」、「天晴れサダオさん」状態である。やはりサダオさんは世界の至宝なのですね。
そう言えばサダオさん、局のジャズ特番としては、大分以前に彼をフィーチャーして、数回取り上げたことはあるのだが、レギュラーの「テイスト・オブ・ジャズ」には、未だゲスト出演は無し。その理由は担当としては一寸語りづらい処だが、皆様には察してもらうしかない。記憶では一番最後に彼に出てもらったのは、日本とケニアの友好を扱った特番。サダオさんは日本ケニア協会の特別顧問か何かをしており、ケニアの素晴らしさを語ってもらった筈である。サダオさん「テイスト・オブ・ジャズ」にも、一度顔を出してくださいね。よろしくお願いします。
【今週の番組ゲスト:マイルス生誕100年記念特集第2弾 音楽ジャーナリストの小川隆夫さん】
M1「Blue in Green」(『Kind of Blue』より)
M2 「Black Satin」 (『On the Corner』より)
M3「Time After Time」(『You're Under Arrest』より)
M4「'Round Midnight」(『Round About Midnight』より)
【5月に出版された小川さんの本】
『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと: マイルス・スピークス』https://amzn.asia/d/078m7Fqq
『マイルス・デイヴィスの時代: ジャズの帝王とモダン・ジャズの軌跡』https://amzn.asia/d/04rMYva5
『マイルス・デイヴィス大百科』https://amzn.asia/d/04q2mvLr







