【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.831~日本で味わうジャズ~】
「ナショナルジオグラフィック」と言う、世界的に知られる科学・自然・地理・民族などを総合的に扱う雜誌がある。創刊はなんと19世紀末と言われるから本当に長い歴史を持つ雜誌で、今はあのディズニー社がこれのTV版も制作し日本でも視聴出来るし、この雜誌の日本版もかなり前から出されている。日本版では独自の取材も行っており、日本だけの特集記事なども良く掲載されている。その日本版の4月号の特集が、なんと「日本で味わうジャズ」ということで、今世界中から注目を集めている日本のジャズ喫茶文化にスポット当てている。この日本のジャズ喫茶と似たようなレコードでジャズを聞く、ジャズカフェがパリを始め欧州各国で誕生しており、その波は本場NYなどにも及んでいるとも聞く...。そうしたある意味、世界的なジャズ喫茶ブームの基となった、本家の日本のジャズ喫茶店はどんなものか...訪ねてみよう...と言う企画なのだろうが、残念ながらこの企画は日本版だけのもので、世界共通の企画では無いようである。ただそう言ってもあの「ナショナルジオグラフィック」が、日本のジャズを特集したのはある意味画期的なことで、実際のところ御茶ノ水の「ディスクユニオン・ジャズ館」で、この雜誌がドカンと平積みになっているのを初めて見た時には、かなり驚いたものだった。
今回のこのジャズ特集は、本場アメリカの記者がカメラマンを同行し来日、全国のジャズ喫茶を何軒か訪ね、その印象をまとめたものだが、なんと表紙はあの一関市の名物ジャズ喫茶「ベイシー」のマスター菅原正二氏。店でウイスキーグラスを前にしたグラサン(サングラス)姿の彼が、仲々にシブ格好良く写っている印象的な表紙写真で、噂によれば彼は自身でかなりな数を買い求めた...とも噂されている。菅原氏はぼくと早稲田大のタメ(同学年)で、彼は早稲田大の誇るフルバンド、「ハイソサエティー・オーケストラ」のリーダー格。ぼく自身も一関のベイシーにも何回かお邪魔したりもしている仲だが、残念ながら今店はほぼ閉店状態だ。
ジャズ喫茶という日本生まれの文化は、菅原氏のようなジャズを心から愛する人達が大切に育ててきたと、このように記事では彼を紹介しているが、またこの「日本で知るジャズの味わい方」と言う特集の冒頭には、温かな雰囲気に満ちた日本のジャズ喫茶。そこではレコードを愛する人々が、音楽を一緒に聴くと言う文化が大切に守られてきたし、ここでは五感の喜ぶ奥深い体験に浸ることも出来る、とある。そしてそうした奥深い音楽体験の出来るジャズ喫茶として、下北沢の名店「マサコ」、文京区白山にある「映画館」、横浜の「ダウンビート」、千葉の「キャンディ」、京都の「ろくでなし」と「ヤマトヤ」などが、その店主の姿と共に紹介されており、中々に興味深い。本来ならばここでは、新宿「ダグ」が登場しないとならない所だが、中平さんも亡くなってしまい、店も今や...という事で、登場は無かった様である。嬉しいことには中野新橋にある、老舗「ジニアス」(渋谷の百軒店から移転)のマスター鈴木彰一さんにもスポットが当てられていることだが、やはりメインは今は閉店中の「ベイシー」菅原氏だろう。
まあそれにしても、世界的な雜誌が日本のジャズ喫茶を特集することの意味合い。これはかなり画期的とも言えるものですし、ジャズ喫茶と共に育ったぼくには、なんとも嬉しい記事でもあります。皆様も是非一度読んでみられたら...
【今週の番組ゲスト:音楽ジャーナリストの原田和典さん(右)ブルーノートジャパン広報の岡田安正さん(左)】
5月22〜24日にSGCホール有明で開催されるブルーノートの新しい試み『BLUE NOTE TOKYO collection』をご紹介
M1「Angel Eyes / Boz Scaggs」(『Detour』より)
M2「Make Friends / Hiatus Kaiyote」(『Love Heart Cheat Code』より)
M3「 It Stays With You / Snarky Puppy」(『SOMNI』より)
M4「EPISODE / 渡辺貞夫」(『I'm with You』より)







