【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.825~守屋純子コンサート~】
この前このコラムで、最近のジャズをやる若い人は、誰もが本当に上手い...と言う事を書いた処、そうだそうだ...と同意の意見も幾つか...。まあでもその若い面々の上手さが、果たしてジャズ的な美味さや旨さ・旨さに繋がっているのか、それはまた意見が分かれる所だろう。ぼく等は、どうもいまいち美味さを感じられないことも多いし、ジャズ・チャンジー(爺さん)の集まりなどでは、そうした意見に与する面々も殆んどである。確かに最近の若い面々、その殆どが音楽大学のジャズ科卒だけに、技術や音楽理論などの面では、一般大学のジャズ研やフルバンドメンバーなどに比べると、遥かに上を行っているのは間違いない。
...などと改めてそんなことに思いを巡らせたのは、早稲田大を代表する学生バンド「ハイソサエティー・オーケストラ」出身で、卒業以降は自身で音楽理論や技術を学び続け、今や作・編曲家&ピアニスト、更にオーケストラリーダーとして、今や日本を代表する一人として、自他ともに認められる存在の守屋純子さん。
定期コンサートの会場でのことだった。今回26回目を迎えるこの定期コンサート、会場は渋谷の文化総合センター・さくらホールで、2月の末に行われたもの。守屋オーケストラは、近藤和彦・奥村晶・安ヵ川大樹等の有名処や、在日の外人プレーヤーなども数名を擁する、総勢17名の堂々とした本格的ジャズオーケストラ。この一流メンバーを集めるだけで大変なようだが、それでも年1回の定期コンサートの他にも、各地のジャズフェスなどにも参加するなど、20年近くオーケストラとして定期的な活動を続けている。その為の努力等など大変なもので、どうやら彼女の自腹でこのコンサートを続けているらしいのだが、その頑張りは正に感涙ものでも有る。ぼくも時々招待を受け、このコンサートに参加させてもらっているが、毎回感心することしきりなのだ。
今回のコンサートのメインテーマは、今年生誕100周年を迎えるマイルス・デイビス特集。それに昨年自身で出したアルバムの中からも数曲を加え、途中の休憩を挟み全11曲を聴かせてくれた。以前はどこかの自治体や企業の委託を受けた、かなり意欲的なオリジナル組曲を発表することなどもあったが、往々にしてそうした意欲作は意欲の空回りと言った側面も有り、余り感心できない時もあったのだが、もう活動数十年で最近は肩の力も抜け、オリジナルの出来栄えも素晴らしいものも多い。その上に今回は、お馴染みのマイルスナンバーが並ぶのだから、期待通りの成果を上げていたと言えるだろう。マイルのオケものと言えば、やはり一代の卓越した作・編曲家、ギル・エヴァンスとのコラボレーションワークとなる訳で、ここでもマイルス&ギルのナンバーの幾つかが披露され、それらをマイルス&ギルの風合いも残しながら、見事に守屋自身の音世界へと昇華しており、流石と言った趣きだった。丁度ぼくの席は会場の真ん中で、廻りはジャズライターなどの関係者も多数。殆んどの面々が彼女のプレーやペン裁き、そしてオーケストラアンサンブルの見事さを称賛、彼女も会場の喝采に嬉しそう応えていた。また来年今度はどんな作・編曲で、私たちを感心させてくれるのか、今から大いに楽しみでもあります。
【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの佐津間純さん】
新譜「TREASURES」から
M1「Treasure」
M2「Quiet Blue」
M3「The Quick Response」
M4「Misty」
右下「radikoで聴く」をclick♪(2026.3.22)




