【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.821~神野美伽ジャズを歌う~】
艶歌・怨歌等など、日本の歌謡曲の主流でもある演歌には、様々な文字が当てられるが、そのどれもがこの歌謡のある本質を言い当てているのは、中々に興味深いところ。またその演歌と言う言葉も、元々は明治時代の自由民権運動に迄遡ることが出来るようだが、この単語が定着したのはなんと1960年代...と言うから、これもまた中々に驚かされる事実でもある。
その演歌歌手も今や、TVの音楽番組(ヒット曲番組)などで見かけることは稀で、かろうじて紅白歌合戦やこの種の音楽を取り上げる歌謡番組程度、イマドキの若い連中には遥か昔の、懐かしい音楽遺産...などと言った認識なのかも知れない。ぼく自身も余りこの手の歌い手達は知らないのだが、やはりかなりな修行を積んだ彼ら彼女達の、その歌の巧さには驚かされることも多い。またこうした演歌畑の人達が、時々ジャズなどを唄うこともあるが、それに聴き惚れてしまうこともしばしばで、その代表格が今や伝説化した存在のちあきなおみ、そして亡き八代亜紀...と言った処だろう。
その演歌の世界で、今やジャズやシャンソンラテンなどにも積極的に挑戦し、コンサート活動などかなりな成果を上げているのが、紅白歌合戦にも登場した実績を持つ神野美伽である。大阪出身の彼女は、同郷の大先輩~笠置シズ子のミュージカルの主役に抜擢され、彼女の偉大さを知ると同時に日本の歌謡ジャズの面白さにも目覚め、笠置シズ子が得意とした「ブギウギ」などからジャズの世界に入り、シャンソンやラテンなどにその興味の範囲を拡げていった。その笠木ブギウギをメインに、ジャズスタンダードなども盛り込んだ、いわゆる神野版ジャズアルバムを発表、そのアルバムを携え2年ほど前にスタジオに遊びに来て、その模様はこのコラムで以前にも紹介した筈でもある。その彼女のジャズライブが今年もまた、丸の内「コットン・クラブ」で開催され、バックの音楽監督は知り合いのクリヤ・マコトが務めることなども有り、招待を受けコットンに久々に出向くことにした。
会場はやはり紅白出場の人気歌手の新たな試み...ということも有り、早くから超満員で、クリヤ以下納浩一・ルイス・バジェなど有名ジャズメン揃い踏みのバックバンドを従え、神野がドレス姿で颯爽と登場する。ジャズの小唄を数曲軽く流した後は、大好きだというラテンの名曲「マラゲーニア」を絶唱、いやーこれには心底驚かされました。一つ一つの言葉の意味合いをくっきり際立たせ、全身で歌い切る凄味がある歌唱、その実力にはまさに感服。そしてこれもお得意と言うシャンソン「愛の讃歌」なども披露、最後は十八番の笠木ブギウギで締め、「わたしはこれからも敬愛する笠置さんのブギを歌い続けます...」と力強く宣言、ヤンヤの拍手の中、また颯爽とステージを後にした。そのカッコ良さ、痺れました...。
ぼくが思う日本ジャズのルーツ=笠置シズ子とエノケンこと榎本健一。この偉人の後を継ぐ和製ジャズ歌手が育ちつつあること、嬉しく思いながら家路につきました。
【今週の番組ゲスト:サックスプレイヤーの三木俊雄さん】
三木さんの参加ユニットtail windの3rdアルバム「SHINRA」から
M1「Navoiy Teatri」
M2「Virgin Forest Raya」
M3「Where Summers Come and Go」
M4「Ordinary Days」
●タイムフリー:右下「radikoで聴く」をclick♪(2026.2.15)




