【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.820~リチャード・ストルツマン降臨~】
もう半世紀以上に渡って、ジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」を担当している訳で、自身でも良く続いているなー(続けていられるなー)と時々思うこともある。ただこれには何と言っても、予想外の演奏家・歌手などに出会えること、その喜び・愉しみが意欲持続の一番の原動力の様な気がしてならない。日頃はどうしてもマンネリ化になりがちだが、時に驚く様な素敵なゲストが登場...、まあこんな感激事はそうめったにはないのだが...、時にそれが実現すると、プロデューサー稼業を続けていて(続けられて)良かったと、つくづく思える...。
先日久々にそんな機会が訪れた。主賓はクラリネット界の第一人者のリチャード・ストルツマン。ジャズメインのリスナーの方達には、余り馴染みのない名前かも知れないが、彼はある意味でクラリネット界のグレン・グールド、ヨーヨー・マとも言える圧倒的な存在...と記せば、その意味合いもお分かり頂けるかも知れないし、更にはあの世界的作曲家の武満徹が、わざわざ彼に捧げてクラリネット・コンチェルトを書いている...、その事実もまたその証明になるだろう。
そんな人物が「テイスト・オブ・ジャズ」にゲスト登場...。それだけにこちらも興奮してしまうのも至極当然なのだが、局の連中に今日リチャード・ストルマンが来局して、番組出演するんだと吹聴しても、誰その人...と言った感じでほぼ無関心、興奮しているのはぼくだけという有り様なのだが、まあそれも仕方ないことなのだろう。
ところで日本でのラジオ出演は恐らく初めて...と言う彼が、何故に我がジャズ番組に出演と言うことなのだが、それはひとえに彼の奥さんのミカさんのおかげなのである。ミカさんは熊本の天草出身の現役の(ジャズ)マリンバ奏者。15年ほど前に再婚同士で結ばれた2人だが、彼女とぼくとはもう10数年の知り合い。彼女のアルバムレビューをジャズ誌で担当し、いたく感謝されたり、また数年前には番組にも遊びに来たりもしている仲でもある。それだけに前回の番組出演の折、彼女に次回は是非リチャードにも番組ゲスト出演を...と頼み込んだのだった。それを忘れずに今回は彼と一緒に出演という運びになった次第で、なんと収録後には彼女の招待で一緒に会食も...、と言う嬉しいお誘い付きでもある。
リチャードは前述の通り、クラシックのクラリネット奏者のレジェンドなのだが、同時にジャズやワールド・ミュージックにも深い関心を寄せ、素晴らしいアルバムを幾つも発表しており、ミカさんのアルバムにも良くゲスト参加している。それやこれやで今回のゲスト出演が実現した訳だが、当日は昼にも誰かと会食しそれが余り良く無かったらしく、肝心のリチャードはいささか元気無し。だが大好きな日本の文化や敬愛する武満徹などについて語り出すと、もう止まらない。最後には日本語で挨拶まで...と、精一杯のサービス精神も発揮、こちらも感激してしまった。どうやら来年夏に、再び武満徹の「クラリネット・コンチェルト」を大々的に再演する計画があり,今回はその為などもありこの春辺りから、2人の大好きな京都でのマンション住まいを決め、その下見と天草への帰郷を兼ねて日本へ...ということのようで、収録の翌日にはもう住まいのボストンへと帰っていった。
2人との会食も、和気藹々として全く愉しくも感激もので、お酒も進む。また次回も出演を...ということなどを約束し別れたのだが、担当プロデューサーとしてもなんとも嬉しい一夜でした。なお放送は2月22日です。乞うご期待!
【今週の番組ゲスト:ジャズプロデューサーの青野浩史さん】
昨年11月に発売の青野さんが監修された本『チック・コリア フォーエヴァー 音楽・人生・日本』(シンコーミュージック)をご紹介頂きました。
M1「Sometime Ago」(『Chick Corea Selected Recordings (ECM)』より)
M2「Noon Song」(『Piano Improvisations Vol.1 (ECM)』より)
M3「Kazuko Burelia」(『Welcome to My Living Room』より)
M4「Spain」(『Light as a Feather (ECM)』より)
●タイムフリー:右下「radikoで聴く」をclick♪(2026.2.8)




