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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.334~ボーカルデュオ】

 このジャズ(音楽)不況下の日本にあって、幾らかでも元気がありそうに見えるのがボーカルの世界。アルバムもそれなりに出されており、新人も入れ替わりに登場したりもしている。ただこれも名刺代わりにアルバムを出す新人女性ボーカルに限ったことで、男性ボーカルでは新しい人などはとんと見られず、ましてやジャズボーカルユニットなどまず存在し得ない。

 
そんな中にあって一人気を吐いているのがギラ・ジルカと矢幅歩の実力派コンビ。彼らがデュオチームを結成して早10年、その成果を今回初めて一枚のアルバムとして結実させた。そのデュオチームの名称は「SOLO-DUO(ソロ-デュオ)」。名前だけ見るといかにも安易に思えるが、日頃は一人ひとりでソロ活動、気が向いたときにこのチームで活動すると言った無理のないスタンス。それだけに10年間もチームとして維持できたのだろうが、その10年分の中身が詰まった初アルバム『Morning Light』は、この二人のセンスの素晴しさが良く出たソフィスティケイトされた都会的でお洒落な佳品で、ジャズファン以外にもかなりアピール出来る心地良いもの。

 
ところでこうしたボーカルデュオチームは本場でも数少なく、ジャズの世界でレギュラーチームとして有名なのは「ジャッキー&ロイ」の夫婦デュオ位なもの。御大トニー・ベネットが何人かの大物ゲスト達とデュオを行ったアルバムで話題を呼んだ(レディー・ガガとのデュオは大評判だった)のは記憶に新しいところだが、ソウルの世界では「ダイアナ・ロス&マービン・ゲイ」とか「ロバータ・フラック&ダニー・ハサウエイ」などと言った大物シンガー同士がデュオを組み、アルバムを発表、かなり売れたりもしたがこれはあくまで例外的なもの。そういう意味からもこのギラ&矢幅チームは世界的にも貴重なものだし何よりその中身が素晴しい。と言うことでお二人にスタジオに遊びに来てもらうことにした。

 
ギラは今まで何回かゲスト登場してもらっているのだが、矢幅くんの方は初めての登場。元々彼は親がジャズ関係の仕事をしており、それもあり自身もこの世界に入ったのだと言う。ただジャズだけに固執すると言ったこともないようだ。2人の出会いは鎌倉にある有名なジャズスポットの「ダフネ」。そこでのギグでお互いの実力を認め合った2人は、時々それぞれのライブにゲスト出演、それがデュオチームへと発展していった。この初アルバムでは、これまで2人で唄ってきたものの中から13曲ほどを選び、レコーディングしたと言うが、2人のオリジナル「Tomorrow」や「ユキノヒトヒラ」なども数曲収められており、その他にカーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」、ブラスロック立役者、BS&Tの「スピニングホイール」など2人の好きなポップスヒット曲、そしてユーミンや井上陽水など日本の有名ナンバーなど、2人ならではの小洒落たボーカルハーモニーで美しく歌い上げられ、実に心地良い気持ちにさせてくれる。この時期だけにクリスマスソングも1曲収められており、番組ではそれをクロージングナンバーにしたが、実にぴったりな雰囲気でスタジオはクリスマス色に染まった。

 個人でもそれぞれに好アルバムを発表している2人が、いつまでこのデュオチームを継続させ続けるのか...、その行く末は分からないがこんな素晴しいデュオボーカル、世界でも皆無だけにいつまでも頑張って欲しいと願うのは、果たしてぼくだけなのだろうか...。2人のポートレイト写真も洒脱なアルバム『Morning Light』。是非皆さんにもお勧めしたい珠玉の1枚です。
【今週の番組ゲスト:SOLO-DUOのギラ・ジルカさんと矢幅歩さん】
 
M1LOVE
M2
「ユキノヒトヒラ」
M3
Baby, It's Cold Outside
M4
The Christmas Song



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