「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.661~治田七海】
今週1月15日放送の「テイスト・オブ・ジャズ」ゲストは治田七海。弱冠21歳のトロンボーン奏者で、初リーダー作『Ⅱ』を昨年秋に発表し、各方面で注目を集めている、今最も期待値の高い新進プレーヤー。札幌市出身の彼女、中学生時代から早くも現地のジャズクラブなどでプロとして活躍、札幌に凄腕の女性トロンボーン奏者がいる...とかなり評判になっていた若手で、ぼくもその評判を耳にしていたが、新進の登竜門として知られるジャズ賞でも最優秀賞に輝くなど、その才を以前から高く評価されていた逸材でもある。
2年ほど前に上京、東京のクラブなどでのライブギグも評判を集めていただけに、初リーダー作を発表と言う話を聞いた時には、是非スタジオに...と思っていた。運の良いことにはそのデビューアルバムのプロデュースを、帰国中のギタリスト増尾ちゃん(増尾良秋)が国内で初めて手掛けると言う(彼はアメリカ在住で、現地では数多くのアルバムをプロデュース)。増尾ちゃんは早稲田大のジャズクラブの1年後輩でタモリと同期、番組にも時々顔を出してくれているので、彼を通して治田さんと連絡を取ることが出来、今回の出演が決定したと言う次第。中学の頃から大人のミュージシャンに混じってプロ活動を行っていた...と言うことで、かなりプロ慣れして擦れたり尖がったりしている女の子か...といささか心配していたのだが、全く異なるはっきりとものを言う実に品の良い好感を持てる女性で、ぼくも山本嬢も彼女のこといたく気に入ってしまった。
デビュー作はこれも今シーンで評判のテナー奏者、吉本章宏との2管演奏がメインで、吉本のテナーに抗して充分にこの難しい楽器をコントロールし良く鳴らしており、そのテクニックの素晴らしさにも脱帽。ここでは自身のオリジナルも1曲あり、これも中々に印象深いものである。アルバムタイトルは『Ⅱ』となっており、デビューでこの数字とは...といささか訝ったのだが、特に意味は無く自身が最も気に入っている数字だとのこと。JJジョンソンやカーティス・フラーと言ったこの楽器の先達を尊敬しており、ここではJJの銘品「ラメント」も取り上げ、見事に吹き切ってもいる。だが今は未だ成長過程の中にありこのアルバムはその過程の一結果だと...、冷静な分析も可愛らしく語ってくれる。
本当は東京に少しいてからその後アメリカの大学でジャズ修行をするはずだったが、コロナ禍の為にその計画を延期していたとも言う。しかしこの秋にはその計画を実現させ渡米するのだと...嬉しそうに語る彼女を見ていると、チャンジーのぼくなどは全面的にバックアップしたくなる。素晴らしい才に恵まれた彼女、アメリカ留学を経てどんな存在へと成長して行くのか、今から大変に愉しみでもあるし、本場アメリカのシーンでもきっとその才能と人間性は高く評価される筈。彼女のこれからの活躍を温かく見守りたい...と思います。頑張れ七海ちゃん!。
【今週の番組ゲスト:ジャズトロンボニストの治田七海さん】
1stリーダーアルバム「II」より
M1「Before the Dawn」
M2「1965」
M3「Lament」
M4「Crawlling」