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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.290~鈴木'チン'良雄】

 このコラムでも再三書いているように、ぼくは早大時代にジャズ研と山の同好会の両方に所属し活動をし、それ以外ではメットを被って石投げなどをしていたりと...、ある意味平凡かつ特異な学生時代ではあった。そして以降はラジオ局員として長年番組制作などを担当、ここでもまた平凡な生活を過ごし定年を迎え、縁あって未だそうした仕事を続けている訳だが、大学時代のこうした趣味、上記の2つ以外にラグビー観戦を付け加えれば、現在の仕事とかなりな部分が重なるのだから、果たしてこれは幸せなことなのかどうか...。

 
さてそんな大学時代のクラブ~早稲田ジャズ研は多くのジャズメンを輩出し、ある意味J―ジャズの黎明期を担うかなりな存在でもあったのだが、これにはぼくの同期のベーシスト「チンさん」こと鈴木良雄、そして1学年下のギターの逸材、増尾良秋の存在がかなり大きい。彼らは2人ともJ-ジャズを体現化していた偉大な存在、サダオさんこと渡辺貞夫のグループに抜擢され、一躍ジャズ界の若きスターになったのだった。そしてそれから10年余り、早大ジャズ研を更に天下に知らしめたのが、日本エンタメ界の3巨人の一人、タモリこと森田和義くん(増尾と同期)で、この3人により我がジャズ研は「永久に不滅」のものとなったのである。

 
まあこんなところがジャズ研の自慢話だが、そのなかでぼくの同期のチンさんは、元々はピアニスト。それがサダオさんの勧めでベーシストに転向、今や日本のジャズベースの第一人者になったのだから、サダオさんには頭が上がらない。その彼が今回はじめてジャズ本を出すことになった。タイトルは「人生が変わる55のジャズ名盤入門(竹書房)」で、2月初めの刊行と言う。このジャズ本、ジャズミュージシャンやライター、ジャズ喫茶のマスターなど、ジャズ関係者50人が自身のベストアルバムを10枚選び、それを集計し順位付けをして、そのうちの55枚についてチンさんがコメントを付けるといった趣向で新書の体裁。この話があったのは3年前のことで、彼からTELがあり「小西よー、ジャズ本出すんで協力してくれよ」と言う。いつもは憎まれ口をきいている仲だが、そこはJ-ジャズの重鎮の一人からの依頼とあれば、断るわけにはいかない。それで原稿を送ったのだが、それから3年余り。もう企画は流れたものとばかり思っていたら、この2月初旬に本が出るという。びっくりしたのだが、彼の初めてのジャズ本と言うことで、宣伝を兼ねて番組に出演してもらうことにした。

 
この本で選ばれている55枚のジャズアルバムは、どれも極めつけの名盤ばかりだが、こうしたアンケートもそうないものだし、1枚1枚に彼がコメントを付けると言うのも面白く、番組でもそのうちの3枚を取り上げ、それぞれの思い出について語ってもらった。残りの1枚は彼の最新作、J-ジャズの気鋭達とのユニット「ジェネレーション・ギャップ」のアルバムから掛けることにした。名盤の方は最も人気の高かったマイルス・デイビスの『カインド・オブ・ブルー』(「ソー・ホワット」)。彼がジャズに目覚めた記念碑的作品、ディブ・ブルーベックの『タイム・アウト』(「テイク・ファイブ」)、そしてピアニストとして最も影響を受けたビル・エバンスの名盤『ワルツ・フォー・デビー』(同タイトル曲)の3作。ぼくのようなジャズライターがこうした名盤について語るのとは違って、現役のミュージシャンの聴き方、耳の付け所はまた一味違っていて仲々に面白い。彼もこの55枚を全部聞き直し、それぞれについてコメントするのはなかなか大変な作業だったと言うが、それはそれで愉しいもの。「ジェネレーション・ギャップ」の新作発表ツアーでは全国50か所近くのライブスポットを回ったという彼。若いと自身で思っていても、もう70才近いオールドボーイ。余り無理せずのんびりとやって下さいね、チン先生。
【今週の番組ゲスト:ベーシストの鈴木良雄さん】
M1「So What/Miles Davis」
M2「Take Five/Dave Brubeck」
M3「Waltz for Debby/Bill Evans」
M4「Ontake/Generation Gap」

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