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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.286~2016年スタート】

 いよいよ新しい年の幕開け。個人的にはもうロートルと言える年令だけに、余り無理せずボチボチと愉しみつつ、1年間行こうと思っているが、ラグビー観戦、山行、温泉旅行、ハードボイルド小説探訪等々、お愉しみも少なくないので、ゆっくりとこなしていこうと思っている。それと今年は追分の山荘生活を、可能な限り伸ばしていきたいとも思っている。軽井沢ジャズフェスもどうやら街イベントとして定着しつつあり、今年は更なる発展を図るお手伝いもしないとならない。

 
さて一方で国の内外を見わたすと、問題山積の年になることは間違いない。昨年多くの人達の反対を押し切り、ごり押しした安保法案(戦争法案という意見もあり)の施行が迫り、世界に冠たる平和国家~日本の行く末も危うくなりつつある。平和ボケなどと言ったレッテルを押し付け、戦争への道を押し開きつつあるようにも見える安倍政治に、ノンを唱えるのは死んだ野坂氏や寂聴師と言った先輩達だけでなく、平和憲法のおかげで世の中を生き抜いて来た、ぼくたちロートル世代の使命でもある筈だと信じる。

 
まあ状況はかなりヤバイ方向に向かう危険性も充分だが、諸状況の文化(=音楽~ジャズ)の世界でも、変化は確実に起こりつつある。昨年終わりのジャズ番組や31日に放送したジャズ特番でも、ゲストの音楽評論家諸氏が述べていたように、従来のジャズという狭い枠組みは今や取り払われつつあり、ラップやヒップホップと言った若い黒人達の日常音楽をベースに、ジャズの要素もプラスした新たな黒人音楽(ニュージャズとでも呼ぶべきか...)が、一つの大きなムーブメントとして定着しつつあり、その波はもっと拡がり日本の若いファン達のハートをも捉えるようになりそうである。そしてまたワールドジャズとも言える、世界各地の独自性に根差したハイブリッドなジャズも、ある大きな動きになってくるに違いない。今やアメリカ以上に人種のるつぼともなりつつある、パリやアムステルダムといった欧州の大都市のゲットーから、予想も付かない新たなジャズ活動が始まるかも知れない。昨年もイスラエルや中東諸国、また旧バルカン諸国などから、若い生きのいい斬新な発想のミュージシャンが出現、新たなジャズ台頭の動きが認められたが、それらも巻き込みつつワールドワイドな形で、ジャズの変質・深化の動きが早まる様にも思えてならない。

 
このようにジャズはどんどん拡散の動きを速めるだろうが、されどまたジャズはジャズでもあり、その新たな音楽の核心部分でジャズはしっかりとした橋頭保を築いており、変質しながらもコアは不変だという構図になるのでは...とも思っているのだが。その答えの一部は番組でもお伝え出来る筈である。

 
さて新年第1回目の番組ゲストは、日本を代表するジャズ・ディーバのケイコ・リー。アルバムデビュー20周年を迎えた彼女、デビュー当時には2~3回番組に登場してくれていたのだが、今回はおよそ17年振りのお目見えである。20周年記念アルバム『Love XX』は、かつて吹き込んだナンバーに新たにストリングスなどを加え再編集したものに、今回新たに吹き込んだナンバーを加えた特別仕様。元々ピアニストとして出発、偶然歌っていた所を名古屋ジャズ界のボス、内田修医師に見出され、ジャズボーカリストに転向したという経歴の持ち主。それから20年余り、今やその歌の上手さは定評あるところで、実にスケール豊かな歌唱を聞かせる。「あの頃はまだ歌に自信が無かったかも知れないはね...」とスタジオに来た頃を懐かしがっていたが、その後の彼女は御立派の一言。今また拠点を故郷の名古屋に定め、東京に出てくることは余り無いため上京時は大忙し。今回も収録後すぐに移動し、ディナーショウの会場に移っていったが、今回のアルバムはぼくの古くからの友人、伊藤潔くん(名古屋のパン製造会社のお偉いさんにしてフリーのジャズ・プロデューサー)のプロデュース作品だとのこと。さすが伊藤くん。彼女の良さを全面的に引き出しており、彼女自身も大満足の様子。「伊藤くんにもよろしくね...」と伝えると、笑って返してくれた。いつまでも謙虚な大御所シンガーである。
【今週の番組ゲスト:ジャズボーカリストのケイコ・リーさん】

M1「AUTUMN LEAVES」
M2「THERE FROM "NEW YORK,NEW YORK"」
M3「I  LOOK TO YOU」
M4「I'M A FOOL TO YOU」

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