「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.664~テナー・タイタン佐藤達哉】
今テナー・サックスの巨星と言えば、本場では大御所のウエイン・ショーターを筆頭に、クリス・ポッター、ジョシュア・レッドマン等々の名前が挙げられるだろう。日本のシーン~Jジャズシーンに目を移せば、川嶋哲郎&竹内直のツートップになるとぼくは思うが、もう一人のお勧めサックス奏者、それが和製マイケル・ブレッカーと言う異名を持つ佐藤達哉である。
「シャープス&フラッツ」などフルバンド畑での活躍も長かったために、川嶋&竹内と言った面々に少し遅れを取った感もあるが、テナーを鳴らす腕前にかけては、少しも引けを取らない力量の持ち主。その上に彼は我が早稲田ダンモ研の良き後輩。と言うことでぼくが全面的に応援するのも至極当然なのだが、どういう訳か番組とはここ10数年以上に渡ってご無沙汰続き。一つには彼が余りアルバムを出さなかったこともあるが、こちらも彼の新作を見落としてしまい声を掛けなかった...、等と言うこともあった。
そんな彼が久しぶりにパーカーやロリンズ、更にはブレッカーなど、サックスの巨星~サックス・タイタン達の「コンファメーション」「セント・トーマス」と言ったレパートリーを、2人のピアニストと共に演奏する2枚組のアルバム『サキソフィアニズム』を発表したと言う話が聞こえて来た。と同時に彼は分厚いアルバムレビュー集~「ジャズアルバム大全」という大著も去年の秋に出版しており、これは是非ともスタジオに呼ばないと...と言うことで、久しぶりに連絡を取ることにした。「小西さん久しぶりじゃないですか...、ちっとも声掛けてくれないんだから...」とお叱りを受けたが、快く出演を引き受けてくれ、十数年振りのゲスト出演となった。
思えば彼がスタジオに来たのは、以前のアメリカ大使館前の溜池旧スタジオ時代。「イヤー本当に久しぶりですよね...。スタジオも少し狭くはなったが、小綺麗にはなっていますね...」と開口一番スタジオを褒める。こちらもご無沙汰していたことを詫びたが、山本嬢もSNS繋がりではあるが、スタジオ収録では初対面。2枚組の新作はジャズスタンダードがたっぷり19曲も詰まった快作で、達哉のテナーも豪快にブローして気持ち良いことこの上なし。その上レビュー集「ジャズアルバム大全」は、下手なジャズライターのものよりはるかに評価が高い。「流石に達哉、いい本だねー」とぼくも褒めておいたが、ミュージシャンらしい視点でのレビューで読み応えも多い。帯の推薦の言葉は森田(タモリ)先生に頼んだとのことで「読んで聴いてジャズの中へ入る...(タモリ)」と言う示唆に富んだもの。
「今度はもう少し短いサイクルで呼んでくださいよ...」と一言言い残して達哉はスタジオを去って行ったが、それにしてもそのプレー同様に人柄も素晴らしい好漢テナーマンである。佐藤達哉くんは...。
【今週の番組ゲスト:サックスプレイヤーの佐藤達哉さん】