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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.394~2017年度ベストアルバム】

 17年度のベストジャズアルバムを、「ジャズ・ジャパン」「ジャズ・ライフ」と言う日本のジャズ専門誌がそれぞれに発表している。ぼくが現在レビューを担当している「ジャズ・ジャパン」の方は、先々週に番組にも登場してくれた大西順子女史の『ヴェリー・スペシャル』と『グラマラス・ライフ』の2枚、そして日本のジャズを牽引する上原ひろみの矢野顕子との共演盤とジャズハープの新鋭エドマール・カスタネーダとのモントリオールフェスでのライブ盤の2枚、計4枚が最優秀ジャズ作品と言うことに決定。一方「ジャズ・ライフ」の方のベスト作は、渡辺貞夫さんのバップアルバム『リ・バップ』、そしてこれも昨年番組に登場してくれた、NY在住の新進ベーシスト、ヤスシ・ナカムラの『ホームタウン』が第2位という結果になっている。ベストアルバムこそ両誌で異なっているが、どちらも日本人の作品がベストと言う点で共通しており、その結果は充分に納得できるものでもある。ぼくもジャズ誌の依頼で17年の「マン・オブ・ザ・イヤー」にサダオさん(渡辺貞夫)を選んでおいたのだが、まあ彼は別格の存在と言うことでアルバムの方は他のものにしたのだった。

 まあ昨年のベスト作はこんな状況なのだが、昨年の東京ジャズは正にサダオさんの為にあったと言うか、サダオさん無くしては去年の東京ジャズは成立しなかったと言う程に、そこでのプレーは感動的だった。今、唯一音サックスを吹いただけで、その存在を天下に誇示出来るようなプレーヤー、そんな人は世界中でも殆どいない。サダオさんはそんな稀有な存在なのだと、東京ジャズの会場で改めて強く認識させられたものだった。

 ところで今回のベスト作品、2誌共に日本のプレーヤーの作品を選んだと言うのも何か象徴的な感じもする。一つには「ユニバーサル」の独占状態にある世界中のジャズアルバム市場、その一つの中心でもある日本でも新譜の発売はレコード会社の都合でかなり限られたものになってしまい、今や世界のジャズアルバムの動向を知ろうとしたら、「ディスク・ユニオン」や「タワー・レコード」などと言った、輸入盤を扱うお店にこまめに通わないとならない。これはジャズだけでなく他のポップスやロックアルバムなどでも言えることかも知れないが、音盤を取り巻く状況が世界中で大きく変わってしまったのである。ただ日本ではまだCDもそれなりのセールスを記録、アナログ盤なども根強い人気を誇っており、日本のジャズプレーヤーやシンガー達は自身のレーベルを立ち上げ、自作を発表し続ける様な努力も怠らない。そんな動きを後押しするかの様に、ジャズ誌も日本のジャズプレーヤー達の作品を推薦すると言った感じもあるのだとも言えそうだし、一方世界のプレーヤー達のアルバムが余り国内盤として紹介されにくくなっていることも、ここ数年日本人の作品そしてその動向に注目が集まる所以なのかも知れない。

 しかし考えてみれば日本のジャズ業界、2つのジャズ誌が成り立っている辺りもある意味凄いことだし、結構ジャズのライブハウスやジャズカフェなども存続し続けており、それなりの活況だと言う点も素晴らしいことと思える。民放ラジオ界最長の歴史を誇る我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」も、日本のジャズ発展のささやかな一助になれば...と、これまでなんとか続けているのだが、その努力も何時迄続くことか...。出来るだけ頑張るつもりではありますが、是非皆様のご声援の程を...。
【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】

今週はジャズトーク、青木先生に名盤とはされていないけれども、青木的名盤をご紹介頂きました。
M1What's This / Dave GrusinKaleidoscope
M2
Ntoro  / Jack DeJohnette」Zebra
M3
Calling You / Bob TelsonBagdad Cafe
M4
The Best Things In Life Are Free / Hank MobleyWorkout

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