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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.282~ライブ三昧】

 日頃は出不精のせいもあり、ラグビー観戦以外余り外出せず、ライブ鑑賞もしない(勉強不足で反省)のだが、11月下旬の数日はラグビー早慶戦を挟み、珍しく3日程(プラス1日)ライブ鑑賞が続いた。このプラス1日については後で記すが、ライブの方はライブハウス、コンサートホール、そして大使館公邸と、それぞれ趣きの異なった場所でのライブ鑑賞だったので面白かった。

 まず初めは我がクラブ仲間で、J―ジャズベースの第一人者、チンさんこと鈴木良雄のライブ。チン、チンと日頃は呼び捨てにしているが、南里文雄賞最後の受賞者にしてジャズシーンの大御所、少しは敬意を払わねばとも思うのだが...。そのチンさんのバンド名は「ジェネレーション・ギャップ」。その名称どおりにチンだけがベテランで、後はピアノのハクエイ・キムなど、全員が30代のバリバリと言う世代ギャップ激しきバンド。こうした若手(中堅)と共に彼も良く頑張っていると言うか良くやれているな...と思うのだが、そこにはJ-ジャズのこれからを考える、チンなりの戦略や覚悟があり、メンバー全員も彼を敬愛し、ユニットとしてもまとまりのある好バンドなのである。今回結成10年目にして初めてバンドのアルバムを発表、その御披露目もかねて全国ツアーを3か月近く実施、その最終ライブが渋谷のJGブラッドだった。「お前よー、10年もバンドやってて、一度も聞きに来ないじゃないか...」とお叱りのTELが2度ほどあり、これはいかなくてはと言う事で、渋谷まで足を運んだ。元々彼は日本のヴァイオリン教育の第一人者、鈴木愼一(ぼくもここの天才少年の1人だったのですが...)を叔父に持つ音楽一家の一員で、山深い木曽福島の出身。数年前に故郷の御嶽山をテーマに曲を書き、いざ発表と言うときにあの大噴火で曲はおくら入り。それを今回のアルバムに収録、これが和太鼓やお囃子と共演したなかなかの名曲で、その演奏が渋谷ライブでの目玉になっている。ライブでは若い面子を引き連れ、彼らに刺激されながらも、意気揚々と若々しいBエースプレーを披歴、ハイライトの「御嶽」ではドラムと和太鼓・お囃子の掛け合いも決まっており、愉しいステージが実現されていた。終わって「好いステージだったね」と声を掛けると「どうした珍しいじゃないか、褒めるなんて...」と切り返されてしまった。まあしかし流石、御大チンさんである。繊細にして大胆、静謐にして華麗。いい演奏聴かせてもらいました。

 
 次の夜は川崎市。ここを代表する大ホール「ミューザ川崎」で行われた川崎ジャズフェス。これまでのフェスを大きく模様替えしての新顔ジャズフェス。このホールは日頃はクラシックを行う大ホールで、その偉観に圧倒されたが、どういう訳か音楽(ジャズ)関係者の姿が一人も見当たらず、席は客席の中央で市のお偉方達に挟まれいささか居心地が悪かったが、音は最高のロケーション。内容はリシャール・ガリアーノとロン・カーターというジャズアコーディオンとベースの珍しいデュオコンサートで、№1どうしのまさに巨匠による貫禄デュオ。ただ広いホールではいささか地味目で、第2部の寺井尚子バンドの方が、舞台映えするのはいささか皮肉なものだったが、演奏内容は保証済みの素晴らしさ。ラストのガリアーノ&寺井の絡みも聴き応え充分だった。


 そしてラストはスウェーデン大使公邸でのライブ。丁度スウェーデンを代表する美形シンガーのイザベラ・ラングレンが2週間ほど来日公演を行い、感謝の意味も込めスウェーデン大使が自身の公邸でパーティーとミニライブを実施したもの。小柄で噂通りの美形の彼女は、自身のピアノトリオをバックに数曲披露、チャーミンングな歌声で魅せた。日頃は大使公邸などに入ったことが無いだけに、ボーカル共々かなり興味深いものだった。


 最後に「プラス1」のライブが高田馬場のボス、茂串氏の持つライブハウス「コットンクラブ」で開かれた『伊藤八十八氏を偲ぶ会』。昨年の今頃亡くなったジャズプロデューサー、伊藤氏についてはこのコラムでも再三取り上げて来たが、その彼を偲んでの追悼会。150名近い参加者で会場は満杯。発起人にはサダオさん(渡辺貞夫)や日野ちゃん(日野皓正)等の大御所も名前を連ね、彼と早稲田大文学部の同期、森田一義くん(タモリ)もその発起人の一人。会ではタモリも挨拶をし、その後追悼演奏が開かれ、サダオさんや坂ちゃん(坂田明)もソロ演奏を披歴、マリーンもトリオをバックに2曲ほど披露と、かなり豪華なライブになった。それにしてもサダオさんの元気なこと。80才を超えているとは全く驚かされます。この会ではタモリやサダオさんとも久し振りに挨拶を交わせて、八十八さんのおかげとなにか嬉しい思いがした。それにしても彼はぼくより一才下、大変残念で寂しい。あの「おニャン子」の一員だった伊藤氏の奥方の挨拶も心に沁みるもので、来年の彼主催の「軽井沢フェス」などの仕事は、彼女が代表として引き継いでいく様なので、全面的に協力していかねばと改めて思ったものだった。彼のこれまで作った作品が写真と共に乗せられている追悼誌が記念品として配られ、改めてその作品群の多さに感嘆させられた。 
【今週の番組ゲスト:ピアニストの宮川純さん】
M1「The Way」
M2「JB'S Poem」
M3「Pulse」
M4「The Water Is Wise」

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