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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.187~図書館三昧~】

 ぼくの仲間でもキャッシュカードなどを沢山抱え、頻繁に使い倒している輩も少なくないが、どうもぼくなどはいい年令をして...等と思ってしまう。ぼく自身はカードと言えば、銀行とクレジット(2枚)そしてビデオ屋くらいでほとんど持たない主義だが、何故か図書館カードだけは多い。今住んでいる国分寺、よく利用する国立、この2つの市立図書館。そして春から秋まで山荘に行けば利用する、軽井沢、御代田の町立図書館。それと仕事の関係で港区図書館、国分寺と提携関係にある府中、小平の市立図書館と、全部で7枚、更に上野にある国立子供図書館(ここは素晴らしい穴場で、世界中の好絵本が見られる)の利用カードもあるので、図書館カードだらけである。

 
このうち最も利用頻度の多いのは国分寺と国立の市立図書館。両方合わせると15冊近く借りれるので、いつも利用しているのだが、読まねばならない本が数多あり積読状態。お気に入りは上記の子ども図書館と、蔵書数や環境などで府中と軽井沢図書館だが、府中は交通が不便、軽井沢は山荘に行っている間だけという難点がある。

 
図書館で借りるのは、やはり私立探偵が活躍するハードボイルド、そして自然本(山岳関連)、音楽書がメイン。ただし音楽関係本はどこも数が少なくほとんど読み切ってしまっている。唯一あの乗りに乗っている菊池成孔&大谷能生コンビのジャズ評論集M/D(マイルス・デューイ・デイビス評論集)だけは何回借りても読み切れずに、途中で返却する羽目になっている。また山岳関連もそう数は多くないため、結局私立探偵(ディックorプライベート・アイ)ものとなるのだが、これがジャズと同じく最近は人気が無いようで、読み応えのある私立探偵ハードボイルド作品は残念なことにほとんど無い。かつて彼らはジャズが流れる場末のバーなどで、孤独にバーボンなどを嗜んでいたのだが、今の若者達にはそうしたスタイリッシュな格好良さ、男の美学と言うものは、時代遅れの無縁な世界みたいで、新人探偵も殆ど登場しない。そんな中、孤軍奮闘しているのがドン・ウィンズロウ。彼は「減らず口」の陰にナイーブな心を隠した探偵ニール・ケアリー・シリーズ(「ストリート・キッズ」他)で人気を博したが、現在はカリフォルニアのサーファー探偵、ブーン・ダニエルズ・シリーズで、新しいファンを獲得しつつある。サーファーと言うだけに暗いバーで泥酔しながらジャズを聴くと言うことが無いのは残念で、好きな音楽も軽快なウエスト・コースト・ロックである、まあ時代は確実に変わりつつあるのだ。

 最近の音楽(ジャズ)書では、昨年暮れに番組に登場してくれたライターの村井康司氏の『ジャズ100の扉』がお勧め。ディスク案内書だが、有名盤一辺当にならず、パーカーから大友良英まで目配りが好い。特にぼくのご贔屓のヘンリー・スレッギル(前衛派の闘士)を100人に選出している辺りも応えられない。

 ところで最後に悲しいお知らせを...。このコラムの前身、3年ほど続いた「ジャズ徒然草」を担当してくれた清水君が、50才台半ばで先日他界された。技術畑の男で、真面目な人柄、誰にも愛された彼は、つい最近闘病中に再婚したのだが、その喜びもつかの間、悲しくも逝ってしまった。好漢に深く合掌。    


 

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